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130億年以上前の「見えない銀河」を観測したい…そのカギとなる場所は南極だった

「常識」が研究でひっくり返る瞬間
「見えない銀河」を南極から観測する。その壮大な研究に取り組むのが、関西学院大学理学部物理・宇宙学科の中井直正教授だ。
〈本記事は「F-Lab.」からの転載です。元記事はこちら

「見えない銀河」を観測する最適な場所が南極だった

夜空に輝く美しい星々は、銀河の中でガスやチリが重力により凝集することで生まれる。つまり銀河は星の母体だ。私たちが暮らす地球は「天の川銀河」に属しており、宇宙全体では2兆個もの銀河が存在すると予測されている。

「しかしそのほとんどが地球からは見えません。普通の可視光で観測する望遠鏡では、理論的に見つかるはずの10分の1程しか見つかっていないのです」

その「見えない銀河」を観測するのに最適な場所が、南極であると中井教授は言う。

「それは南極の大気に含まれる水蒸気の量が、地球上で最も少ないからです。南極に設置する予定の望遠鏡は、可視光ではなく宇宙から来る高い周波数の電波(テラヘルツ波)をアンテナで捉えることで銀河を観測します。

水蒸気が多い場所では電波が吸収されてしまうため、極めて水蒸気量が少なく晴れの日が多い南極は、このテラヘルツ望遠鏡の設置場所として最も適しているのです」

中井直正教授

宇宙誕生後4〜8億年後に何が起こったか明らかにする

そもそもなぜ、遠い銀河を観測する必要があるのか。それは宇宙の誕生後およそ4~8億年後の間に何が起こったかを明らかにするためである。

可視光では遠いところにある銀河ほど暗くなって見えなくなるが、電波(テラヘルツ波)ではあまり暗くならないという特殊な効果によって、非常に遠くにある銀河でも発見が容易なのだという。そして観測範囲が遠くなればなるほど「過去」の銀河の姿を観察できるようになる。

「テラヘルツ望遠鏡は、可視光の7~8倍の銀河を観測することができます。地球から130億年以上前の若い銀河を観測できるようになれば、銀河がいつ、どうやって生まれたかのヒントが得られ、ビッグバンから間もない宇宙の姿の解明にもつながるはずです」

南極10m級テラヘルツ望遠鏡の完成予想図。地図上(左下)の「新ドームふじ」に建設予定

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