私も母のようになってしまうかも…

——ハミ山さん自身が母親になることへのためらいはなかったですか?

母のようになってしまうかもと不安に思って、カウンセリングに通ったり、世代間連鎖に関する本をたくさん読んだりしました。その中で「あなたが悪かったんじゃないんだよ」と第三者に言ってもらえて気が楽になったところはありましたが、実際に親になった今も不安に思うことはあります

母は自分が愛人だったこともあって、実家や友達とも距離を置き、社会からも離れ、隠れたような状態で私を育てていたんです。もし、そういう状態で子育てをしていたら、自分も母のようになるかもしれないと思うので、昔からの友だちを大事にし、趣味を持ち、仕事をして、そうならないように意識しています。

——約20年、お母様との壮絶な暮らしの中で、つらい・恥ずかしいと思う感情のほかに、学んだことなどはあったのでしょうか。

母はとてもきれいな人で、外で見ると全然変な人ではなかったけれど、家の中ではかなり異常でした。傍から見ていくら仲が良さそうに見える親子・家族でも、その人が抱えている問題までは他人にわからない。きれいな家に住んで、家族仲が良いということを前提に、話しかけたり、質問するのはいけないなということは母との生活で学んだことかもしれません

あと、家を出る手続きをしたとき、年配の警察官が対応してくれたのですが、『今はお母さんとケンカをしていても、最後は気持ちを伝えあって仲直りできるよ』と言われて、『そんなわけないだろう』と思ったんです。その方の中ではそうだろうけれど、私の中では全然違う。相手が話したことに対して無責任な反応をしないこと、打ち明け話をする人は慎重に選ぶことも学びました

インタビューの最後に、どんな人が毒親になる可能性があると思うかハミ山さんに問うと、「うちの母のように趣味がなかったり、友だちと疎遠になっていたり、子ども以外に社会的なつながりがないと、子どもに依存して過干渉になる。そこが毒親への入口になってくるのかもしれないですね」と返ってきた。

“良かれと思って”という親心は、果たして子どものためになっていることなのか。もしかしたら、親自身が良く見られるためにしていることなのかもしれない。そう思うと、毒親という存在は意外と身近に存在するものなのかもしれない。

-AD-

『汚部屋そだちの東大生』第1〜3話を無料試し読み!

『汚部屋そだちの東大生』単行本を購入したい人は▼

ハミ山クリニカ
愛人関係である両親の元に生まれ、毒親だった母と超がつくほどの汚部屋で約20年生活する。母親に言われるがままに東京大学【理科II類】を受験し合格。その後、就職して母親から逃げるように家出をし、ついに自立。そんな壮絶半生を綴った半自伝的マンガ『汚部屋そだちの東大生』が、スマホ向けコミックサイト「マンガよもんが」の連載を経て、単行本として3月10日に発売される。


取材・文/本間綾