「毒親」と聞いて思い浮かべるのはどんな親だろう? 暴力を振るう、世話をせずに放置する、性的虐待など、誰の目から見ても子どもに明らかな虐待行為を行う親はもちろん毒親なのだが、子どもを過度に管理・支配する、過干渉する、価値観を押し付けるなど、一見すると熱心な親とも思えるタイプの毒親も存在するのだ。

そんな毒親を母に持ち、自宅はたくさんのゴキブリが這いずり回る超汚部屋。父親だと思っていた相手は、母親の愛人。そんな逆境を乗り越え、東大入学を果たしたハミ山クリニカさんの半生を描いたマンガ『汚部屋そだちの東大生』は、「なんのために東大生になったの? ママを幸せにするためだよねぇ?」という衝撃的なセリフから始まる。毒親と過ごした日々、汚部屋での暮らし、母親に決められた東大入学……自身の壮絶すぎる体験をもとに半自伝的マンガを描いたハミ山さんに当時を振り返ってもらった。

母親の過度な干渉は
人格形成に大きな影響を及ぼす

——当時、ハミ山さんが一番つらいと感じたのはどんなことでしたか?

子どもの頃、夏休みの自由研究やコンクールに出す絵画・作文などは、すべて母に手直しをされたものを提出していました。それは、私が描いたものがぐちゃぐちゃすぎて、このまま提出したら恥をかくんじゃないか?という気遣いからの手直しではなく、まるで別物のように手直しされて。それが賞を取ることも多く、友人からは「すごいね」と言われていたけれど、全然嬉しくなくて……。私が1人で作ったものは誰からも評価されないんじゃないか、自分が実力を出したらどうなんだろうと、自信がなくなる一方でした

その感覚は今もあって、人格形成に多大な影響を及ぼしたと感じています。どこにも提出しない絵や作文を母が直すことはなく、“他者評価”が入ってくるものだけ、自分が納得のいくように手直しをしていたので、結局私のためではなく、自分のためにやっていたんだと思います。でも、母にその自覚はなく、ただ純粋に「描き直したほうがいいから」と思っているだけで、悪気はなし。他人によく見られたいという気持ちが強すぎて、私のことまでコントロールしてしまったんでしょうね。

(C)ハミ山クリニカ 『汚部屋そだちの東大生』(ぶんか社)