前向きに考えて、進んでいかないと
ーー今回、外食が思うようにできなくなって、逆に外食文化の大切さに気づいた人も多いですね。
単にご飯でお腹をいっぱいにするだけなら、2人で食材買って、1000円でお腹いっぱいになるじゃないですか。レストランに行ったら、なかなか1000円じゃ食べられない。そういう意味では、わざわざレストランで食べなくてもいいんですよ。食べなくてもいいんですけど、レストランで食べるのって、そこに何か希望があるじゃないですか。レストランを予約して、お腹をすかせて向かうときの楽しみ、わくわくするような前向きな気持ち。そんなとき身体からは本当にいいオーラが出ているでしょ。
イタリア語ではレストランはリストランテというんですけど、それはリストラの語源なんです。イタリア語で言うとリストラーレ、再構築、改めて力をつけるという意味です。レストランに行ってパワーをもらう、パワーをつける。レストランはそういう場所なんですよ。僕たちは、そういういい場所をお客様に提供させていただいているんです。だからこそ、お客様が喜んで、安心して使ってもらわないと僕たちも困るし、何か不安があったら、心から「いらっしゃい!」という感じにはなれないんです。

僕は、僕たちは、リーマンショックのときも、東日本大震災のときも乗り越えてきた。今回も、料理の質が落ちたとか、そういうことではなく、お客さんが来られなくなったわけです。だから、僕らは、前向きに考えて、進んでいかないと。
僕は、いつも「それは難しい」とか、「できない」とかマイナスな言葉を使いたくないと思っています。難しい、と口にしたら、それでぱたっと終わっちゃうじゃないですか。だから、「それは簡単じゃないかも知れないけど」、「時間がかかるかもしれないけれど」と言いながら、先につなげていきたいんです。前向きな姿勢さえ忘れなければ、乗り越えられない壁はない、と信じています。