「初めて銀行で借金をした」落合務シェフが語るコロナ禍の飲食店が「本当に伝えたいこと」

一志 治夫 プロフィール

無借金で経営してきたことによる「落とし穴」

ーー従業員の方の給料はどうされたんですか。

銀座、池袋、お菓子の店を合わせるとうちは全部で45人くらい従業員がいるんですが、6~7割など最低の給料は出してました。だから、初めて銀行に借金をしに行ったんですよ。5月まで休むなら、これはもう金が足りなくなるに決まっているから、と。

この店はずっと無借金で経営してきたんです。いままで借金をしてなかったことを誇っていたわけですけど、でもそれは逆に、銀行取り引きから言えば僕が信用がないということだった。そんなことも初めて勉強しましたよ。

6月から再び営業をスタートさせて、それまでは35席ぐらい入れていたのを23席にして、夜は1回転。最初の頃は9時前までお客さんが来たら入れていて、10時閉店にしていた。それでも70、80%の売り上げがあった。ランチも2回転していましたし。ただ、そのうち、今度はランチも控えろ、みたいなことが言われ出した。もう何言ってんだよって、思いましたね。

 

ーー一方で、落合さんは、政府に陳情に行かれたり、一般社団法人「食文化ルネサンス」を立ち上げて声を出していきます。

外食産業は、26兆円産業と言われているのに、それが軽視されているのが悔しくて。グチを言ってても、泣き言を言っててもしようがないからね。国会に人を送ったり、陳情して、動かして変えていかないと、と思ったんです。コロナ禍で気づいたのは、俺たち飲食業は、結構軽んじられてたのかな、ただの飯屋と思われてたのか、ということでした。僕の店にも、他のみんなの店にも国会議員の人たちも食べにきているわけです。でも、こうした飲食店の大変さを分かってもらえていなかった。

きちんと外食産業のことを考えてくれる、事情をわかってくれる人たちが国政に参加してくれないと、これから先、外食産業に携わる人たちの生活も守っていけないな、と今回、強く思ったんです。僕たちも、耐えているだけじゃダメなんです。ずっと耐えてきたけど、今回、耐えきれなくて、なくなっていく店もあったわけだから。僕たちの実情をわかっている人が僕たちの声を届けてくれないと、僕らの未来はないですから。

編集部からのお知らせ!

関連記事