詳細を隠したがる企業が多いが、薬や化粧品などの日用品は生きた動物を使って安全性テストを行う。われわれの生活は、命あるものの犠牲の上に成り立っているという真実から目を背けてはならない。発売中の『週刊現代』が特集する。
古事記にも登場する、よく知られた神話に「因幡の白ウサギ」がある。
隠岐島から海を渡ろうとしたウサギがワニ(サメのこと)を騙し、海に並ばせる。その背を渡っている途中に嘘をばらしてしまい、ウサギはワニに皮を剝がれる。
痛がって泣いていると、八十神に「海の水を浴びて、風に当たるといい」言われ、その通りにしたら身はぼろぼろになった。
痛々しい話だが、それにも増して残酷な現実が、この現代社会には存在する。
まずは左上の写真を見てほしい。まるでウサギのぬいぐるみが並んでいるかのようだが、すべて生きているウサギだ。このように首を固定され、行われる実験がある。
「ドレイズテスト」、別名「眼刺激性試験」とも呼ばれ、試験物質を強制的に点眼し、目にどのような反応があるかを見るものだ。
化粧品やシャンプーが目に入ると、痛いものだが、その影響を測るための試験が、ウサギを使って行われているのだ。
当然ながら、痛い。だが固定されたままのウサギは目をこすることもできず、試験が続く3日のあいだ苦しみ続ける。中には、暴れまわって首の骨を折ってしまうウサギもいる。
そして、試験が終わり、苦しみから解放されるのは、すなわち死を迎える時だ。試験を終えたウサギたちは殺処分、解剖され、実験動物としての短い生涯を終える。
このような動物実験の存在が普段、われわれの意識に上ることはあまりない。試験を行っている企業や研究所はその現実を隠したがるし、メディアも動物が苦しんでいる様子を積極的に報じることはほとんどないからだ。