20代の検診の低さと、妊娠中の発症

日本は、HPVワクチン接種率も世界の最低水準の低さだが、子宮頸がんの検診受診率も先進国の中ではかなり低い。日本では20歳から子宮頸がん検診が推奨されているアメリカでは80%と高い受診率を維持しているが、日本は40%台。20代に限ってはわずか20%と低いのが実情だ。

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「子宮頸がんの定期検診を受けている女性がそもそも少ないため、日本では、妊婦健診で初めて検診を受ける人が少なくありません。そして、妊婦健診の際に前がん病変や子宮頸がんが発覚するということがしばしば起きているのです」と宮城さんは言う。

「妊婦健診の頸がん検診で陽性となる方は2%〜4%くらい。年間出生数が令和元年で86万4000人ですから、2%でも相当数になることが想像できると思います。誤解があるようですが、妊婦健診で異常がなくても安心してはいけません。出産後に検診にいかずに、子宮頸がんが進行してから見つかる方もいらっしゃいます。性交渉がある限り、感染する可能性がありますので、定期的に検査を受け続けることが大切です」

乳がんの予防啓蒙のピンクリボンキャンペーンはかなり浸透したが、子宮頸がん予防啓蒙のティール&ホワイトリボンはまだ浸透していない。photo/iStock

また、HPV感染の広がりを防ぐには、女性側のワクチン接種と定期的な検診だけでなく、「男性への啓発も重要」と、宮城さん。

「子宮頸がんになるのは女性ですが、感染という意味では男女両方に原因があります。アメリカでは、検診の普及で子宮頸がんの罹患数は減少し今後はワクチンの効果も期待されていますが、以前は予防対策を行っていななかった男性のHPV16型による喉のがんは増加傾向にあり、男子への接種も積極的に行われています。日本の政策は、女の子へのワクチン接種にとどまっていますが、先進国では、男性にも公費でのワクチン接種が進んでいます。日本でも男性へのワクチン接種が進んでいけば、ハイリスクHPV感染者が減っていき、子宮頸がん撲滅が近づいてくるでしょう

男性もHPV感染が原因で、肛門がん、陰茎がん、中咽頭がんなどの悪性腫瘍のほか、尖圭コンジローマを発症することがある。2020年の年末には、厚生労働省が、「ガーダシル (4価HPVワクチン)」の男性への接種(9歳以上)と肛門がんへの適応範囲拡大を承認した。これで、今後は男性が任意(自費)で4価HPVワクチンを接種後に万が一重大な副反応が起こった場合には、公的な補償を受けられる可能性がある。

ガーダシルはHPV16型、18型、性器に良性のイボができる尖圭コンジローマの原因となる6型、11型の計4種類を防ぐ(日本で承認されたHPVワクチンは、この4価のほかに、2価と2021年2月に発売された9価ワクチンがある)。