HPVワクチン接種、相当な遅れをとっている日本

3月4日は「国際HPV啓発デー」である。“HPV”と聞いて、ピンと来る人はどれくらいいるだろう。

HPVとは、ヒトパピローマウイルスのこと。性交渉がある男女なら、誰でも感染する可能性があり、女性がかかる子宮頸がんの主な原因となっている。最近では、咽頭がんや肛門がん、陰茎がんなど、男性もかかるがんにも関わるウイルスであることがわかってきた。

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国際パピローマウイルス学会(IPVS)は、毎年この日に全世界90以上の団体・組織と提携し、HPVについての知識を普及させる啓発活動を行ってきた。2021年は、「HPVについて知ろう。HPVはみんなで撲滅できる」がテーマ。また今年は日本で初めて、本格的に啓発キャンペーンが行われることになった。なぜかというと、日本は、HPVワクチンの公費接種率が1%未満(※)と、極端に低い状況にあるからだ。

今から約5年前、漫画『コウノドリ』の「子宮頸がん」のエピソードでHPVワクチンの課題が描かれた。そこから今も接種率はなかなか上がらない。(c)鈴ノ木ユウ/講談社『コウノドリ』14巻より

世界の多くの国では、女子への接種率が7 〜8割が当たり前。男女両方にワクチン接種を実施している国もある中で、日本は接種率で相当な遅れをとっている。

そして残念ながら、HPVの問題は、新型コロナウイルスほどニュースにはならない。しかし、どちらも、人々の間で広がっている感染症なのだ。長年子宮頸がんの治療に携わってきた、産婦人科医の宮城悦子さんにお話を伺った。

宮城悦子(みやぎ・えつこ)
横浜市立大学医学部産婦人科学教室 主任教授。専門分野は婦人科腫瘍の治療と予防。日本産科婦人科学会特任理事。婦人科腫瘍の集学的治療と子宮頸がん予防、卵巣明細胞がんの腫瘍マーカーなどの様々なデータを解析調査している。

※日本では、2013年4月から小学校6年生から高校1年生の女の子は、HPVワクチンを公費でうてることになっているが、個別にお知らせが届かないこともあり、実質中止状態となって7年以上が経過した。2020年10月からは、定期接種対象者や保護者への個別お知らせが再開され、接種率の回復が待たれている。