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日本人がまだまだ知らない…アメリカで起きた「悪夢の株価急騰事件」とは何だったのか?

アメリカの株式市場では、2021年1月末にGameStop事件が起こった。

Redditで情報交換をした「ロビンフッダー」と呼ばれる個人投資家が集まって、ゲーム小売チェーンであるGameStopの株価の上昇を試みたことで、この株を空売りしていたヘッジファンドをはじめとした投資家を驚かせ、「ショートスクイーズ」という株価爆上げの現象を引き起こした。年明けには18ドル程度だった株価が、月末の1月29日には340ドルにまで達した。

ショートスクイーズとは、株式市場の相場が急上昇したのに対して、空売り(ショート)を仕掛けていた投資家が、損失防止のためにやむなく株の買い戻しに手を付けざるを得なくなる状況のことをいう。同じことを他のヘッジファンドや機関投資家も考えるため、当該株への買いが殺到し、その結果、さらに株価が押し上げられ、未決済の空売り分の損失も増大してしまう。空売りをしていた投資家からすると悪夢のような状況だ。

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このGameStop事件においても、損失を被ったヘッジファンドの中には損失補填のために保有株を売却しなければならないところも現れ、結局、この事件の余波は株式市場全体に及んだ。事態を重く見た連邦議会では、2月18日に下院の金融サービス委員会(House Financial Services Committee)がZoomを通じた公聴会を実施し、関係者からのヒアリングを行った。

召喚されたのは、ブラッド・テネフ(Robinhood CEO)、ケネス・C・グリフィン(Citadel CEO)、ガブリエル・プロトキン(Melvin Capital CEO)、スティーブ・ハフマン(Reddit CEO)、キース・ギル(個人投資家)、ジェニファー・シュルプ(ケイトー研究所)の6名。

Robinhoodはロビンフッダーを生み出した金融アプリサービス会社。Citadelはヘッジファンドだが、グループにRobinhoodとPFOP(詳しくは後述)を交わしたCitadel Securitiesを抱える。Melvinは今回のGameStop事件で大損失を被り外部から資本注入を受けざるを得なかったヘッジファンド。Redditはロビンフッダーたちの情報交換の場となった「r/WallStreetBets」の運営会社。個人投資家のギルは、“Roaring Kitty”と呼ばれ、GameStop株の推奨者として今回の騒動を引き起こした中核人物の一人と目される。ケイトー研究所は、リバタリアニズム(自由至上主義)を掲げる政策シンクタンク。

こうした関係者に対して、金融サービス委員会の委員である下院議員たちが、事件の顛末や、関連する事実について問いただした。だがそれでも、公聴会開催後の2月24日、GameStop株は、ほぼ1ヶ月ぶりに再び急騰した。といっても40ドルから160ドルへの上昇くらいにととどまったのだが。それでもこの動きは、公聴会を一度開いた程度では、今回の事件は解決しそうにないことを示している。金融とITの接点における争点の一つとして長く検討が続きそうだ。

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