「元祖怪物」江川卓が凄すぎた…「プロより球が速く見えた」驚異の高校時代

プロ野球・裏面史探偵(3)
二宮 清純 プロフィール

関東大会3試合の中でも、“黒潮打線”の異名をとる銚子商戦相手の20奪三振は衝撃的だった。

「試合は銚子球場で行われたのですが、野球熱の高い銚子のファンが完全に黙り込んでしまいましたから……」

そう語るのは、江川より1学年下の土屋正勝である。2年夏にはエースとして甲子園に出場し、準々決勝で江川作新を延長の末に撃破する。雨の中で演じた江川の“サヨナラ押し出し四球”は今も語り草である。

 

「実は関東大会の準決勝、僕は途中から出場しているんです。ウチのヒットは8回に青野達也選手が記録したライト前の1本だけ。あれも、もう少しでライトゴロになりそうな打球でした。

この時の江川さんのボールは速いなんてもんじゃなかった。ボールが浮き上がってくるように見えました。

江川さんより1学年下、つまり僕らの学年には横浜の永川英植(1975年ヤクルトドラフト1位)、土浦日大の工藤一彦(75年阪神ドラフト2位)ら速球派といわれた好投手が何人もいましたが、江川さんとはボールの質からして違っていた。皆、速くても浮き上がってはこなかった。いや、あんなボール、プロに入ってからも見たことはありません」

ちなみに土屋は1975年にドラフト1位で中日に入団。中日で9年、ロッテで3年プレーしている。

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