タイトルは「プロ野球・裏面史探偵」だが、2年ぶりのセンバツを前に、今回は番外編として高校野球史上最強の“怪物”について書く。
1973年のセンバツで作新学院高(栃木)の3年生エース江川卓がマークした60奪三振は、48年たった今も春の甲子園一大会あたりの最多奪三振記録である。
しかし、江川と3年間バッテリーを組んだ亀岡(旧姓・小倉)偉民によると、「江川のストレートが一番速かったのは高校2年の秋」だという。
そこで調べてみると、高2の秋の秋季関東地区大会栃木県予選、関東大会では圧巻の数字が並ぶ。県予選は4試合に登板し、29回を投げ、6安打無失点45奪三振。奪三振率14.0。
関東大会では1回戦、東農大二高(群馬)相手に6回まで投げ13奪三振1安打無失点。準決勝は銚子商(千葉)に対し、1安打20奪三振の完封勝ち。決勝の横浜(神奈川)戦でも16三振を奪い、無四球完封勝ちを演じた。
江川擁する作新学院は、23戦全勝負けなし、140イニング連続無失点というとんでもない記録を引っさげて甲子園に乗り込んだのである。