恋愛だけじゃないハロプロの厳格さ

「なぜアイドルが恋愛をしてはいけないのか」といった議論をする前に、ハロー!プロジェクトの内情について確認しておきましょう。

実のところ、ハロー!プロジェクトの厳しさは今に始まったことではなく、風紀に関してあらゆる厳格な規律を定めている、言わば“超名門のお嬢様学校”のようなところ
宝塚音楽学校が「清く 正しく 美しく」を校訓に掲げているように、ハロー!プロジェクトのメンバーもまた、事務所が独自に制定している様々なルールを遵守しながら、アイドル活動や厳しい歌とダンスのレッスンに日々励んでいます。

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例として、直近では2020年も二人のメンバーが「ルールに反する事案が発覚」したとして活動を休止。結果的に二人ともが各々のグループから脱退するに至っています。
どのようなルール違反があったかは公式に発表されていませんし、本人たちの名誉のためにもここでは名前を伏せますが、一説によれば、一人は私的なSNSアカウントでプライベートな書き込みを行っていたこと、もう一人は悪質なファンにそそのかされコンサートの曲目などの内部情報を漏洩させてしまったことが原因であると噂されています。

僕は個人的に、これらの処罰はさすがに厳しすぎるのではないかと感じています。前者は、あくまで当人が日記のように使っていたプライベートアカウントを何者かが流出させたというものだし、後者にいたってはまだ高校生のメンバーでした。
もちろん、企業はもとより芸能事務所にとっても情報漏洩は死活問題ではあるものの、当人が未成年であることを鑑みれば、管理や教育体制における事務所側の過失と責任も少なからず問われるべきではないか、と。

とはいえ、詳細を伏せ「ルールに反する事案」という発表に留めたのは、事務所側も過失を自覚しており、メンバーの名誉と今後のキャリアを守る目的があったと考えられます。
しかも、解雇ではなく、あくまでグループからの脱退に留め、両人ともに現在もアップフロントプロモーションに在籍しています。それはまるで、厳しさの中にもメンバーを見捨てはしない事務所の姿勢を象徴しているかのようです。

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ハロプロは「恋愛禁止」を明言していない?

但し、事務所のこの真摯な姿勢が弊害を起こしていることも事実。

ハロー!プロジェクトの活動において、メンバーに対してどんなルールが制定されているかは、あくまで非公開。
そのため、今回のようにメンバーの脱退があった場合に、「どんなルール違反によって、なぜ当人が脱退しなければいけないのか」について、具体的な詳細が明かされないのです。
メンバーを一途に応援してきたファンからすれば、ある日突然の脱退の理由をあやふやにされることに、理不尽を感じずにはいられないでしょう。

そして、ハロー!プロジェクトにおいてルールが不明確である代表例が、「恋愛」に他なりません。
我々は、あくまで暗黙の了解において「アイドルは恋愛をしてはいけない」と刷り込まれているに過ぎない。後にも先にも、ハロー!プロジェクトが正式な形で「メンバーの恋愛を禁じている」と明言したことは、実は一度もないのです。

しかしながら、このほど発表された「高木紗友希のJuice=Juiceでの活動終了に関するお知らせ」のアップフロントプロモーション代表取締役による記述を振り返ってみましょう。

“今回報道されていることについて、高木本人から急遽説明を受けました。
その上でハロー!プロジェクトのメンバーとして、自覚を欠いていると総合的に判断し、今回の結論に至りました。”

「ハロー!プロジェクトのメンバーとして、自覚を欠いている」とは、一体何を指しているのか。
男性と二人きりで会っていたこと?
男性とのツーショットを週刊誌にすっぱ抜かれたこと?
男性と半同棲状態にあること?

きっと、その全部なのでしょう。
これまであやふやにされてきたルールを明確にするならば、「ハロー!プロジェクトではメンバーの恋愛を禁じている」のが一目瞭然です。

しかも、先述のとおり2020年にグループを脱退したメンバーには、脱退前の猶予である活動休止期間が設けられていたのに対して、高木紗友希はスクープ発覚から約24時間後のスピード脱退。事務所が10年以上手塩にかけて育てた歌唱力No.1のメンバーだったにもかかわらず。
それほどまでに、ハロー!プロジェクトにとってメンバーの恋愛は重大なるルール違反であることを示唆しています。

世間では「女性蔑視」「女性差別」が今まさにホットワード。
にもかかわらず、いや、だからこそなのか、「ハロー!プロジェクトではメンバーの恋愛を禁じている」とは決して明記せず、「ハロー!プロジェクトのメンバーとして、自覚を欠いている」と、あくまでメンバー本人の過失と責任であるとしている姿勢に、女性蔑視・女性差別における批判や議論の対象から逃れんとする事務所側の不誠意を、僕は感じずにはいられないのです