大切な人が「陰謀論」にハマってしまったら、どうすればいいのか

塚越 健司 プロフィール

陰謀論者は“潜在的な不安”を抱えている

さらに、対話を困難にさせる要因として、「自分は正しい」と主張することの快楽、そして同じ考えの他者から得られる安心もある。自分を否定する他者に境界線を引いて排除し、同じ主張に共感できる仲間との「一体感」を感じること。敵を排除し、自らを正当であると主張する時の快楽を、私たちは否定できない。

また、排除と一体感を求める人々は、攻撃的であると同時に、被害者意識(自分は排除されている)という“潜在的な不安”を抱えている(陰謀論にかかわらず、過激な言葉の裏にはこうした心理が共通するように思われる)。

〔PHOTO〕iStock

これまで述べてきたことを前提とすれば、上から目線で陰謀論者を諭したり、あるいは論破しようとすればするほど対話が困難になり、相手が敵対的になるということも理解できるだろう。それ故に、上から目線で「マウント」を取ることは、「陰謀論者を説得する」という意味においては、むしろ逆効果なのである。

では、陰謀論にハマっていると思われる人には、どのようなコミュニケーションが望ましいのだろうか

SNS上のやりとりはNG

まず、議論すればするほど喧嘩別れが予想されるSNS上でのコミュニケーションを、筆者は推奨しない。対話を重ねようとSNS上で奮闘する人を筆者は尊敬するが、万人がそれを実践することは困難であるばかりか、場合によっては自身の心身のバランスを崩してしまう可能性があるからだ。

対話はできれば、対面や電話で行うことが重要である。2012年のウィスコンシン大学の研究によれば、幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンの分泌には、テキストメッセージではなく、対面か音声コミュニケーションの方に効果が現れるという研究結果があるからだ(このエビデンスは、ひとまず信じてほしい)。

したがって対話相手は必然的に、家族や親友といった親しい人に限定される(そのような関係でなければ、そもそも対話するだけの労力を費やそうとは思えないだろう)。親しい関係であれば、陰謀論の話以外にも共有の話題があり、話し合うこと自体はできる。

では、具体的にはどのように話し合えばいいのか。

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