科学的に「頭を良くする方法」はあるのか? 鍵はアストロサイトの活性化にある!

最新の脳研究が示す驚きの事実

脳を柔らかく、しなやかに保つにはどうしたら良いのでしょうか。先日公開した記事『最新の脳研究が明かす「頭がいい人、悪い人」は何が違うのか』でも触れましたが、最新の研究では、アストロサイトと呼ばれる脳細胞が重要なはたらきをしていることが分かってきました。

そこから見えてきたことは、「いくつになっても脳は変われる」ということです。頭がやわらかいということは頭の良さにもつながるので、年齢に関係なく「頭を良くすることはできる」とも言えるのではないでしょうか。

ポイントとなるのは、脳の可塑性。脳の柔らかさを表す"シナプス可塑性"とアストロサイトの関わりについてご紹介します。

最新の科学を駆使して、頭を良くする方法はあるのでしょうか? 好評発売中のブルーバックス『脳を司る「脳」』の内容を踏まえて、ご紹介します。

柔らかくしなやかな脳の働きとは?

歳をとると考え方が頑なになり、「この頑固オヤジ!」などと言われたりします。また、状況に応じて柔軟に物事を考えられる人は"頭が柔らかい"、逆に意固地になっている人は"石頭"などとも言われます。某人気少年漫画の主人公は、一度決めたことをブレずにやり切る意思が固いことの比喩表現として、石のように固い頭を持ち味としているという描写がありましたね。

現実には、頑固オヤジの頭が本当に石のように硬いわけではありません。では、頭が固い・柔らかいというのは、科学的に見てどういうことなのでしょうか。

脳細胞のはたらきの観点から言うと、科学的にみて"頭が柔らかい"状態というのは、脳細胞同士のコミュニケーションが円滑で効率が良いことを指します。脳細胞の情報伝達(シナプス伝達)は、常に一定ではなく、状況に応じて強めたり弱めたりすることでその効率が長期にわたって変化することがわかっています。この現象は「シナプス可塑性(かそせい)」といいます。

「可塑性」というのは通常聞き慣れない言葉かもしれませんが、英語で言うと「plasticity」と言います。これは、プラスチックと同じ意味の言葉です。私たちの身の回りにあるプラスチック素材のものは、柔らかく、自在に形を変えることができます。それと同様、脳のシナプス伝達も状況に応じて変化できるのです。

さらに最新の研究では、グリア細胞という脳細胞の一種であるアストロサイトがシナプス可塑性の調節をおこなうことで、脳の情報処理に関与している証拠が見つかってきています。

【図】脳の細胞脳のおもな細胞。アストロサイトは、アストログリア、星状膠細胞ともいわれ、支持機能については以前より知られていた

アストロサイトは、脳細胞のニューロン(神経細胞)と異なり電気的な信号を発生しないため、不活性な脳細胞であると考えられてきました。ところが、アストロサイトは活性化すると、「グリア伝達物質」と呼ばれる因子を放出することで、シナプス可塑性を引き起こし、ニューロンの活動に影響を与え得ることがわかってきたのです。

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