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「ミャンマー国軍の背後に中国がいる」を全否定した中国の本当の狙い

習近平が目論む「10年前の復讐」とは

ミャンマー国軍の誤算

2月1日にミャンマーで軍事クーデターが勃発してから1ヵ月、事態は悪化の一途を辿っている。2月28日の全国規模のデモでは、多数の死傷者が出た。

これまで3週にわたって、ミャンマー情勢について論じてきた。1回目は、アウン・サン・スー・チー女史がどんな人物なのか、会った印象を含めて述べた。2回目は、ミャンマーだけでなくASEAN10ヵ国が、それぞれ強権化している現状を伝えた。先週の3回目は、日本在住の若いミャンマー人たちの訴えを伝えた。4回目となる今週は、主にミャンマーを巡る国際情勢について述べたい。

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そもそも、私がなぜこれほどしつこく、ミャンマー情勢を論じるかと言えば、地政学的に重要な要衝にあるからだ。

ミャンマーは中国とインドの間の要衝であり、東アジアと西アジアの間に位置する要衝でもある。そして台湾と並び、米中2大国の利権が衝突する要衝なのだ。日本も昔からそのことを理解していたため、第二次世界大戦では、32万人もの大部隊をミャンマーに投入した。

ミャンマーは1997年にASEAN(東南アジア諸国連合)に加盟したが、2月1日の軍事クーデターから1ヵ月を経て、ASEANはようやく重い腰を上げた。3月2日、ミャンマー問題を話し合うASEAN外相特別会議を開く。

先々週のコラムで詳述したように、最近のASEAN各国は強権化しているので、ASEANとしてミャンマーの民主化運動を支持するという声明は出さないだろう。そもそもASEANの原則は全会一致なので、ミャンマー代表が反対する声明は出せない。

だが、それではクーデターを起こした国軍側がハッピーかと言えば、決してそんなことはない。私は先週、軍事クーデターの首謀者であるミン・アウン・フライン軍総司令官に、この10年で3度も会ったというミャンマー専門家に話を聞いたが、彼はこう言った。

「国軍は、ミャンマー国民がこれほど自分たちに反発してくることは、予測していなかったはずだ。2014年に軍事クーデターが起こったタイのように、国民はすんなりと受け入れると踏んでいた。

なぜなら、2011年に国軍ナンバー4だったテイン・セイン大統領が民主化を推し進めた結果、国民は軍に対して、必ずしも悪いイメージを持っていないと自認していたからだ。ミャンマーのこのところの経済発展の牽引役は、国軍系企業グループMEHL(ミャンマー・エコノミック・ホールディングス)だという自負もある。

ところが実際には、10年間の民主化を経験した国民、特に若者たちは、もう二度と国軍支配はごめんだと思っていた。国軍はそこをはき違えたのだ。

 

それで国軍は、アウン・サン・スー・チー国家顧問率いるNLD(国民民主連盟)と和解し、取り込みたいというのがホンネだろう。だが軍とデモ隊との対立がこれ以上、激化すると、それも難しくなってしまう。まさにクーデターを起こした国軍側も苦悩しているのだ」

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