その意味、わかってる?歴代「ダーウィニズム」に翻弄されたダーウィンの主張

カッコいいワードは誤解も生じやすい
更科 功 プロフィール

ダーウィンの主張で正しいのはどれか

さきほどダーウィンの主な主張として以下の6つ挙げた。それぞれについて、少し説明しておこう。

1. 生物が進化すること 生物が進化することを主張したのはダーウィンが初めてではないが、多くの証拠を上げて説得力のある主張を展開したのはダーウィンが初めてである。

2. 進化のメカニズムとしての自然淘汰説 自然淘汰説についてはウォレスもほぼ同じ主張をしているが、より完全な形で主張したのはダーウィンである。たとえば、ウォレスは、自然淘汰でヒトの脳を作ることはできないと考えていた。

3. 進化のメカニズムとしての用不用説 用不用説は、当時は進化のメカニズムとして有力な説であった。そのため多くの人が主張しており、ラマルクやダーウィンもその中に含まれる。しかし、用不用説を支持する証拠は今のところ皆無である。ちなみに用不用説は獲得形質の遺伝の1つである。用不用説とは異なる獲得形質の遺伝が存在することは確認されているが、用不用説が存在することは確認されていない。

4. 生物は枝分かれ的に進化すること このことはダーウィンだけでなくウォレスも主張している。不完全な形ではラマルクも主張している。

5. 生物はゆっくり進化すること(漸進的進化) 漸進的な進化は、現在では必ずしも認められていない。進化速度は大きく変わるので、かなり急速に進化することもあると考えられる。ただし、進化速度がどの程度までなら漸進的進化と言えるのかという基準はないので、あまり真面目に議論する意味はないと考えられる。

6. 進化は進歩ではないこと このことをきちんと主張したのはダーウィンが初めてである。この主張は、もしかしたら、自然淘汰説以上に重要な主張かもしれない。

【写真】自然淘汰説以上に重要なこと?「進化は進歩ではない」ということは、自然淘汰説以上に重要かもしれない photo by gettyimages

さて、「ダーウィニズム」と「ネオダーウィニズム」のそれぞれについて大きく2つずつに分けて述べてきたが、細かく見れば、さらにいろいろな意味に分けることもできる。

とにかくダーウィンはいろいろな主張をしているので、その中のどれを認めてどれを認めないかで、全然違う主張になることもある。もし読者に誤解をさせたくなかったら、「ダーウィニズム」や「ネオダーウィニズム」は使わない方がよいだろう。

関連記事