2021.03.05
# 株式投資

バフェットは本当に過去の人? 大暴落を予見していた人たちの共通点

内向型のほうが暴落に強い理由(3)
スーザン・ケイン プロフィール

「ウォーレンも老いたな」

もちろん、バフェットはそのひとりではなかった。彼は先行き不透明な企業をめぐる投機的な熱狂に巻き込まれたりはしない、保守的な投資家だ。彼のことを過去の遺物として片づける者もいた。だが、バフェットはまだまだ強力な存在で、カンファレンスの最終日に基調講演をした。

 

バフェットは数週間かけて講演内容を熟考し、入念に準備をした。演壇に立つと、まずは自分の短所に触れる話をして注目を集めてから(昔の彼は人前で話すのが苦手で、デール・カーネギーの話し方講座で学んだという)テクノロジー関連企業の勢いがもたらしている好景気がそう長くは続かない理由について、詳細な分析を披露した。データを調べ、警告信号に気づいたバフェットは、それが意味するものについてじっくり考えたのだ。彼が予測を公的に発表したのはじつに三〇年ぶりだった。

シュローダーによれば、その講演を聴いた人々はあまり感銘を受けなかった。それどころか、バフェットの話はその場の人々の雰囲気に水をさすものだった。彼らはスタンディングオベーションで拍手を送ったものの、多くの人々が彼の考えを無視した。「ウォーレンも老いた。頭のいい男だが、今回は機会を逃したな」と彼らは陰で言い合った。

その日の夜、カンファレンスは盛大な花火とともに閉幕した。例年どおり、大成功だった。だが、その集まりのもっとも重要な部分――ウォーレン・バフェットが発した、市場が衰退する兆しありとの警告――は翌年、まさに彼の警告どおりに、ITバブルが弾けるまであきらかにされなかった。

バフェットは過去の実績を誇りに思っているだけでなく、つねに自分の「内なるスコアカード」にしたがっていることも誇りに思っている。彼はこの世界を、自分の本能に焦点をあてる人と、周囲に流される人とに二分している。「自分であれこれ判断するのが好きなんだ」とバフェットは投資家としての人生を語る。

「システィーナ礼拝堂の天井画を描いているようなものだ。『なんてすばらしい絵だろう』と褒めてもらうのはうれしい。けれど、それは自分の絵なのだから、誰かに『なぜ青ではなく、もっと赤を使わないんだ?』と言われたら、それで終わり。あくまでも自分の絵だから。彼らがなんと言おうがかまわない。絵を描くことに終わりはない。それがなによりすばらしいことのひとつだ」(古草秀子)

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