2021.03.05
# 株式投資

バフェットは本当に過去の人? 大暴落を予見していた人たちの共通点

内向型のほうが暴落に強い理由(3)
株価が不安定だ。日経平均株価は大台の3万円回復を31年ぶりに成し遂げた後、一気に下落した。コロナ禍で経済環境は目まぐるしく変動し、株式市場にとって好材料ばかりがあるわけではない。しかし、株は上がれば下がるとアタマでわかっていても、強気相場で他人が株で儲かっているのを指をくわえて静観などしていられず、大金を投じる人も多いのではないだろうか。こういうときにどう行動すればいいのか、心理学・脳科学面から冷静に考えてみよう。スーザン・ケインの『内向型人間が無理せず幸せになる唯一の方法』から、ハイリスク投資の心得を2回にわたってお送りしてきた。今回が最終回だ。

地球最後の日に備えてツナ缶を備蓄するタイプ

経済危機の話となると、それを予見していた人々の話がつきものだ。そして、そういう話の主人公はFUD(恐れ(fear)、不確実(uncertainty)、疑い(doubt))を心に抱いているような性格である場合が多い。彼らは、自分のオフィスのブラインドをおろし、世間の多数意見や仲間からのプレッシャーとは距離を置いて、孤独に仕事に集中するようなタイプだ。

二〇〇八年の大暴落の当時、利益をあげた数少ない投資家のひとりは、〈ボウポスト・グループ〉と呼ばれるヘッジファンドのマネジャーであるセス・クラーマンだ。クラーマンは着実にリスクを避けながら成果をあげる手腕で知られ、自分の資産のかなりの部分をキャッシュで保有していることでも有名だ。二〇〇八年の大暴落から二年間、多くの投資家が群れをなしてヘッジファンドから撤退するなか、クラーマンはボウポスト・グループの資産をほぼ二倍の二二〇億ドルにまで増やした。

クラーマンはその偉業を、明確にFUDにもとづいた投資戦略でなし遂げた。「ボウポストでは、恐れが大人気で、投資について言えば、あとで残念がるよりも今怖がるほうがずっといい」と、彼はかつて投資家への手紙に書いた。

 

二〇〇八年の大暴落へと続く数年間、クラーマンは「慎重さを固持した数少ないうちのひとりで、その発言はちょっとどうかしているのではないかと受けとられていた」とカリーは言う。「みんながお祭り騒ぎをしているときに、彼はきっと地球最後の日に備えてツナの缶詰を地下に備蓄していたのだろう。そして、誰もがパニックに陥ったとき、彼は買いに回った。それは分析の結果じゃない。そういう性分なんだ。たぶん、彼はセールスマネジャーになっても成功しなかっただろう。だが、今の時代の偉大な投資家のひとりだ」

同じように、マイケル・ルイスは二〇〇八年の大暴落への道筋を描いた『世紀の空売り』(東江一紀訳)のなかで、世間が好況に酔っていた二〇〇〇年代半ばに破滅がやってくることを見通していた数人の人物を描いた。そのひとりはヘッジファンド・マネジャーのマイケル・バーリ。バーリは大暴落までの数年間、カリフォルニア州サンノゼのオフィスにこもって財務諸表を綿密に検討した末に、世間の人々とは反対の見解に達した。そして、FUDにもとづいた投資戦略をとった。人づきあいが苦手な投資家ペアの、チャーリー・レドリーとジェイミー・マイ。彼らの投資戦略もFUDだった。

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