2021.03.03
# 株式投資

「恐れ・不確実・疑い」にバツ印。株高に熱狂する人たち共通の特徴

内向型のほうが暴落に強い理由(2)
スーザン・ケイン プロフィール

不正行為ぎっしりの書類なのに気にもせず

一九九〇年代、私はウォール街の法律事務所に勤めていた。他行が貸し出したサブプライムローンの一括購入を考えている銀行の代理人をつとめるチームの一員だったのだ。私の仕事は調査活動全般で、関連文書に目を通して各ローンの事務処理がきちんと行われているかを調べるのが仕事だった。借り手は支払い予定の利率を知らされているか、利率が漸次上昇すると周知されているか、そうした点を確認していた。

書類には不正行為がぎっしり詰まっていた。もし、私が銀行家だったら、徹底的に調査するところだ。だが、私たち法律家チームが会議でリスクを指摘したところ、銀行側はまったく問題を感じていないようだった。彼らは安い価格でローンを買い取って得られる利益ばかり見て、契約を進めることを望んだ。このような目先の利益を追求しようとした誤算が、二〇〇八年の大暴落のときに数多くの銀行の破滅を助長したのだろう。

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ちょうど同じ頃、いくつかの投資銀行が大きなビジネスを獲得しようと競合しているという噂がウォール街に流れた。それぞれの銀行が選任チームをつくって、顧客に売り込みをかけた。どのチームも、スプレッドシートや提案用資料を呈示し、パワーポイントでプレゼンをした。だが、勝利を得たチームはそこに演出をひと味加えた。野球帽をかぶり、胸にFUDと書かれたTシャツを着て、会議室に登場したのだ。FUDは、恐れ(fear)、不確実(uncertainty)、疑い(doubt)の頭文字で、その三文字が太い×印で消されていた。FUDは世俗の三位一体の象徴だった。そのチームはFUDを克服し、競争に勝った。

二〇〇八年の大暴落を目のあたりにした投資会社〈イーグル・キャピタル〉社長のボイキン・カリーは、FUDに対する軽蔑――そして、FUDを感じる傾向がある人々に対する軽蔑が、大暴落の発生をうながしたのだと表現した。攻撃的なリスクテイカーたちにあまりにもパワーが集中しすぎていたのだ。

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