2021.03.02
# 株式投資

他人が株で儲かっていると居ても立っても居られなくなる人たちへ

内向型のほうが株暴落に強い理由(1)
スーザン・ケイン プロフィール

外向型は経済的にも政治的にも報酬を求める

ドーンは経験からして、外向型の顧客は報酬に非常に過敏であり、対照的に内向型の顧客は警告信号に注意を払うと言う。内向型は欲望や興奮といった感情を調節するのがうまい。彼らは損をしないように自分を守る。「私が相談を受けている顧客のなかで、内向型の人は『大丈夫だよ、ジャニス。興奮してわれを忘れてしまいそうだけれど、そんなことをしてはいけないとわかっているから』と言えることが多いのです。内向型は計画を立てるのが上手で、いったん立てた計画はきちんと守ります」とドーンは言う。

 

ドーンによれば、報酬に対する反応の点で、外向型と内向型との違いを理解するには、脳の構造について少し知らなければならない。大脳辺縁系はもっとも原始的な哺乳類にも共通するもので、感情や本能を司っているが、ドーンはそれを「古い脳」と呼んでいる。古い脳は、つねに私たちに「イエス! イエス! イエス! もっと食べて、飲んで、セックスして、危険を冒して、楽しむだけ楽しみなさい! とにかく、なにも考えてはいけません!」と言っている。古い脳の、報酬を求め快楽を愛する部分が、アランをけしかけて大事な老後資金をまるでカジノのチップのように扱わせたのだ、とドーンは信じている。

私たちの脳には、大脳辺縁系よりも数百万年もあとに進化した、新皮質と呼ばれる「新しい脳」がある。新しい脳は、思考や計画、言語、意思決定など、人間を人間たらしめる機能を司っている。新しい脳もまた、私たちの感情の働きに重大な役割を担っていて、合理性の中枢部なのだ。新しい脳は、私たちに「ノー! ノー! ノー! 危険で、でたらめなことをしてはいけません! あなたにとっても、あなたの家族にとっても、社会にとっても利益になりません!」と言っている。

では、アランが株投資でわれを忘れていたとき、新皮質はどうしていたのだろう? 新しい脳と古い脳は連係して働くが、それは必ずしもうまくいかない。両者が衝突した場合、私たちはより強い信号を送っているほうの言いなりになる。つまり、アランの新皮質は「用心しろ!」という信号を送っていたが、古い脳との力ずくの綱引きに負けたのだ。

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