2021.03.02
# 株式投資

他人が株で儲かっていると居ても立っても居られなくなる人たちへ

内向型のほうが株暴落に強い理由(1)
スーザン・ケイン プロフィール

老後資金の七〇%を失う

その後、政府が自動車業界を救済しないという報道が出た。GMの株は売られ、株価は暴落。それでも、アランはまだ、大きく勝つ夢を見て、株を持ちつづけた。そのうちにきっと相場が反発すると確信していた。だが、株価は下がりつづけ、とうとうアランは巨額の損失を出して持ち株を売ることにした。

悪いことはそれで終わりではなかった。その後、政府が救済を実施するというニュースがふたたび流れると、アランはここぞとばかりに数十万ドルを投じて、安くなったGM株を買った。だが、またしても同じことが起こった。救済が実施されるかどうか、先行きが不透明になったのだ。

そこで、アランはまたしても株を持ちつづけた。株価がこれ以上、下がるなどありえないと思ったというのが、彼の「説明」(説明という言葉を括弧でくくったのは、ドーンによれば、アランの行動には意識的な説明はあまり関連がないからだ)だった。彼は株が大きく値上がりするのを期待した。だが、株価は下がった。一株七ドルまで下がった時点で、アランは持ち株を売った。そして、またしても救済措置の話が取りざたされると、性懲りもなく株を買って……。結局のところ、GM株が一株二ドルにまで下落したとき、アランは七〇万ドル、つまりは老後資金の七〇%を失っていた。

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アランは狼狽した。そして、どうしたら損失を取り戻せるかとドーンに尋ねた。彼女にはどうしようもないことだった。「なくなってしまったのです。投資金を取り戻すことはできません」彼女はアランに答えた。

いったいなにがいけなかったのかと彼は訊いた。なにがいけなかったのか。それについてドーンが思いあたることはいろいろある。そもそも、なんの予備知識もなしに株に手を出すべきではなかった。しかも、投資額が大きすぎた。資産の五%、つまり五万ドル程度に制限すべきだった。だが、最大の問題はアランが自分で自分をコントロールできないことにあったのかもしれない。彼は心理学者が言うところの「報酬に対する感度」が過敏な状態に陥ってしまったのだ。

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