自分で自分を認めることの大切さ

ジェンダー規範やルッキズムに問題提起しながら、同時に、承認欲求と自己肯定感の関係性も浮き彫りにする本作。アレックスはミス・フランスのファイナリストとして脚光を浴びるにつれ、SNSでフォロワーが増えていき、自分が社会からやっと認められたと感じる。

だが、そこに本物の幸せがないことにアレックスは次第に気づいていくのだ。承認欲求と自己肯定感のバランスをとるのは難しい。私達はどうしても他人の目から自分を評価してしまうからだ。こういった人間の性(さが)について監督の意見を求めてみた。

『MISS ミス・フランスになりたい!』より

「現代は非常に速いスピードで進む、危険な時代だと思います。アンディ・ウォーホールは『誰もが15分間なら有名人になれる』と言いましたが、今や私達はSNSの数分間で自分をなんとか表現し、他者から承認してもらおうとする……。

しかし、世間に認めてもらうことに自分の幸せを委ねてしまうと、『ひとかどの人物になりたい』と、もがき苦しみ続けてしまう。それよりも、自分自身を受け入れて自分との調和を図ることで、様々な“らしさ“から解放されて生きていけるのではないでしょうか。ミスコンが象徴する“外の世界“ではなくて自分で自分を認めることの大切さをこの映画から伝えたかったんです」

『MISS ミス・フランスになりたい!』より

今年41歳になったルーベン・アウヴェス監督はポルトガル人の両親をもち、パリで移民2世として育った。20歳の頃から俳優としてフランスやポルトガルのテレビや映画に出演しており、監督としては本作が長編2作目だ(1作目は日本未公開)。ルッキズムや承認欲求が蔓延するエンターテイメント業界で20年間以上サバイブしてきた彼だからこそ言える、言葉の重みがある。

自分で自分を幸せにすることができれば、私達はもっと楽に生きられるし、他人にも寛容になれるのかもしれない。多様性を受け入れることとは、まず、自分を愛することから始まる。そんなことを、監督とこの映画から教わったように思う。

MISS ミス・フランスになりたい!』は2/26(金)シネスイッチ銀座ほか全国公開
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