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福島第一原発「10年目の真実」…じつは「吉田所長の“英断”海水注入」は、ほぼ“抜け道”に漏れていた

NHKメルトダウン取材班 プロフィール

事故の真相検証はまだ道半ば

にわかに信じがたい解析結果は、事故当時に計測された1号機の原子炉や格納容器の圧力に関するパラメーターは、原子炉内への注水量を“ほぼゼロ”に設定しないと再現ができないことから、結論づけられたものだ。

会場はざわついていた。詰めかけた関係者の中で、最初に質問したのは全国の電力会社の原子力分野の安全対策を監視・指導する立場にある原子力安全推進協会(JANSI)の幹部だ。

「事故から5年以上たって、初めて聞いた話だ。いまだにこんな話が出てくるなんて……」

発言には明らかに不満が込められていた。事故から5年以上経過しても次々と出てくる新たな事実。最新の解析結果の発表は事故の真相の検証はいまだ道半ばであることを物語っていた。

 

吉田昌郎所長の事故対応をめぐって、繰り返し称賛されるのが、1号機海水注入を巡る「英断」である。「海水注入について総理の了解が得られていない」と忖度した元東京電力副社長、武黒一郎フェローは、官邸から福島第一原発の吉田に電話を入れ、注水中止を指示する。

武黒「おまえ、海水注入は」
吉田「やってますよ」
武黒「えっ!」
吉田「もう始まってますから」
武黒「おいおい、やってんのか? 止めろ」
吉田「何でですか?」
武黒「おまえ、うるせえ。官邸が、もうグジグジ言ってんだよ!」
吉田「何言ってんですか」

吉田は武黒に反駁したが、電話は一方的に切られたという。

水素爆発後、高い放射線量の中、自衛消防隊や協力企業の作業員らが被ばくを伴いながら2時間近くかけて準備を行い、ようやく1号機の原子炉への注水を開始した直後の出来事である。

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