提供:リクルートスタッフィング

1つの仕事でバリバリ働きたい人、副業をしながらマルチに働きたい人、自分のペースを大切にした働き方を選ぶ人など、自分が願う働き方の選択肢も多様になってきています。そんなさまざまな働き方がある中で、人々はどのような思いでその道を選び、「自分らしい働き方」を見出しているのでしょうか?

自分の時間を有効に使うためのさまざまな働き方を提案しているのキャンペーンリレーインタビュー。最終回は独特な色使いと世界観で人気のイラストレーター・松尾たいこさんです。30歳を過ぎての上京後に、イラストレーターとしてデビュー。柔らかさの奥にハッとする美しさを忍ばせた色彩のイラスト作品だけでなく、ご自身の生き方やファッションなども注目され、多くの著作も世に送り出されてきた松尾たいこさんが体現され証明した「急がば回れ」の夢の叶え方を伺いました。

六本木ヒルズで行われた個展にて。写真提供/松尾たいこ

松尾たいこ(まつお・たいこ)
アーティスト/イラストレーター 広島県呉市生まれ。約10年の自動車メーカー勤務を経て32歳で上京。1998年よりイラストレーターに転身。大手企業の広告などにも多く作品を提供、手がけた本の表紙装画は300冊を超える。角田光代や江國香織との共著やエッセイも出版。単著に『35歳から私が輝くために捨てるもの』『クローゼットがはちきれそうなのに着る服がない!そんな私が、1年間洋服を買わないチャレンジをしてわかったこと』などがある。最新作は自らのペットとの別れを元にした絵本「きっとそこにいるから」。イラストエッセイ『出雲IZUMOで幸せ結び』(小学館)『古事記ゆる神様100図鑑』(講談社)を発表するなど、神社や古事記にまつわる仕事も多い。それらの経験を通じ、火・風・水・土など森羅万象に神が宿るという古代日本の概念に共感し作品での表現を追求中。現在、東京・軽井沢・福井の三ヶ所を拠点に活動している。 インスタグラム https://www.instagram.com/taikomatsuo/ 公式サイト https://www.taikomatsuo.com/

乳がん・留学・会社員・CAを経て開業した44歳の「自分らしく時間を使う働き方」記事▶︎

「絵を仕事に、なんてどうせ無理」
と感じていた地方の会社員時代を経て

広告や本の装丁などで人気のイラストレーター・松尾たいこさんは、「イラストレーターになれると思わなかった」と振り返ります。地元の短大を卒業後、自動車メーカーに就職。11年の会社員生活の間、大好きな絵を描くことをどのように続け、夢に近づいていったのでしょうか。

「就職活動中、説明会で自動車メーカーの求人に『車の配色』という職種を見つけました。少しでも絵に近い仕事ができるのではないかと考え、応募。その職種には受かりませんでしたが、事務職として内定をもらいました。会社勤めのかたわらで、地元の新聞社が主催するカルチャーセンターのグラフィック教室に通い、県美展に出品し受賞するなど絵の近くにいることだけは続けていました。当時は地元・広島で絵を仕事にしている人に出会ったことがなく、イラストレーターは東京にいる一部の人のみができる職業だと思っていましたから。

会社員時代の写真。写真提供/松尾たいこ

職場では資料作りが得意だったことから会議資料を任されることになったり、その評価から部長の秘書に採用されたり、働くことの楽しさは感じていました。時間があるのでプログラミングの勉強を始めたところ、上司から『プログラムが打てるなら』と言われてシステム開発の部署へ異動。思いがけないことではありましたが、C言語やフォートランを使いテストデータをグラフ化する仕事をしながら、コツコツとやる仕事の適性と、『やっぱり描きたい』と絵への情熱を再確認しました。

これ以上この大きな会社の中で自分が働き続けるイメージが持てなかったこと、ロールモデルがいなかったこともあり、10年も勤めた自分を労うつもりで『少しの間、自分の好きなことだけをしよう』と考えました。東京の友達から聞いた、いくつからでも入学できる絵の学校『セツ・モード・セミナー』へ、入学資格を得られるくじを引きに運試しのつもりで行ったところ、合格。もう心は決まっていたので、翌日、会社に辞表を提出しました」