「オンライン」で縮まりすぎた、男女の距離

玲美がアキラと初めて現実でデートをしたのは、マッチングしてから約2ヶ月後、緊急事態宣言が明けた後だった。

けれどその間に、二人はすでに恋人のように連絡を取り合うようになっていたそうだ。

アキラはマメな男で、朝晩の「おはよう」「おやすみ」のLINEはもちろんのこと、他愛のない世間話のチャットも毎日のように続くようになった。

「テレビ電話や、お互いのSNSを交換して写真も送りあったりして、気づけばまだ会ったこともないのに恋人みたいな関わり方をしてたんです。“はやく会いたい”とは言い合ってたし、時間がたつにつれて“好きだよ”と言われるようにもなりました」

二人の連絡頻度は、まるで思春期の高校生だった。

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まだ現実に顔を合わせたことはない。しかしむしろ「会えない時間が愛を育む」とでもいうように、お互いの距離と気持ちが縮まっていく感覚があったという。

「なので初めて彼と対面したときは、遠距離恋愛中の彼氏に再会したみたいでした。今となっては恥ずかしいですが、すっかり彼のことを好きになっていて……。けど、しばらくカフェで向き合っていて“あれ?”と思ったんです」

ようやく実物のアキラに会えたとき、玲美の気持ちは最高潮に高まっていた。

お互いの気持ちはすでに伝え合っていたし、そのまま交際に発展することは疑いの余地もない。

玲美はすっかり恋人モードで彼に向き合っていたが、しばらくしてふと気づいた。

会話がまったく盛り上がらないのだ。

話をしているのは玲美ばかりで、アキラはニコニコ頷いているだけ。2ヶ月間LINEも電話も延々と会話が続いていたのに、彼はなぜか無口だった。

「でもあのときは、やっぱり緊張してるんだと思ったんです。結局初デートは1時間ほどお茶をして解散することになり拍子抜けしたのですが、彼は駅の改札口まで送ってくれたり対応は紳士だったので、私のことを大切にしてくれてるんだと思い直して……」

しかしその夜、なんとアキラはLINEで「付き合って欲しい」と玲美に告白したのだ。

少し違和感はあったものの、気持ちが盛り上がっていた玲美はすぐにOKの返事をし、そして奇妙な交際がスタートすることになった。