ヤクザに人権ナシ…「残るも地獄、辞めるも地獄」という絶望的現実

社会復帰はこんなに難しかった…

2021年早春、2本のヤクザ映画が相次いで封切りされた。藤井道人監督の『ヤクザと家族 The Family』。西川美和監督の『すばらしき世界』である。

(C)2021『ヤクザと家族 The Family』製作委員会/(C)佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会

ヤクザ映画といっても、従来のそれとは異なり、視点が違う。いずれも、ヤクザを辞めた主人公が社会復帰することの難しさを描く。暴力団や暴力団離脱者にとって、現代社会の風当たりは強い。

もともと日本社会では、ヤクザは社会における「必要悪」として存在を黙認されてきた。しかし、2010年から全国で施行された暴排条例以降、状況は一変する。世間のヤクザに対する「まなざし」は変化し、排除する姿勢に容赦はない。憲法で保障された当たり前の権利すら認められないことから、離脱しても社会復帰が難しい。斜陽の現代のヤクザには「残るも地獄、辞めるも地獄」という現実がある。

 

そうした時代にあって、暴力団離脱者を排除する社会、彼らの社会復帰における困難さを描いた作品が、相次いで公開されたことに、筆者は日本社会の「健全さ」を感じた。

触らぬ神に祟りなし、見て見ぬふりをされる暴力団離脱者問題。このテーマに正面から鋭く切り込み、「このような社会的排除はおかしくないか」と世間に問う。これらの作品が映画館で上映され、そこに触れた人たちは、「人間の権利」そして「家族の大切さ」や「更生に不可欠な居場所」等々につき、再考を迫られたのではないだろうか。

勇気ある問題提起――ともいえる時宜を得た二本の作品。二本の秀逸なヒューマン・ドラマである。そのコメントや制作過程にご縁を頂いた筆者が、それぞれの作品につき、以下では、拙い私見を述べる(ネタバレを含む)。

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