Photo by Cliff Hawkins/Getty Images

純利益1兆円!絶好調ソニーが誇る「本当のすごみ」と「2つの死角」

「業態転換に成功」はちょっと違います

純利益は前年同期比62%増

ソニーの業績が好調だ。

2月に公開された2020年度の連結純利益予想は1兆850億円と、ついに1兆円の大台を超える。第3四半期の売上高は2兆6965億円で、純利益は3719億円。この純利益はなんと、前年同期比で62%増だ。

ソニーは過去、「ソニーショック」とよばれるほどの苦境に陥ったこともある。だが、同社は現在、10年前の状況がウソのように好調で、利益水準も回復している。日本の家電大手にはいまだ苦しむところも多く、特に海外市場でのプレゼンスは急激に低下している。

そうした状況下で、ソニーはなぜ、これほど好調なのか?

Photo by Bloomberg / gettyimages

「ビジネスモデルを変更したため」などと指摘されるが、果たしてその評価は正しいのか? そして、この好調の陰に死角は存在しないのか?

筆者は、2012年に上梓した『漂流するソニーのDNA』や2016年刊行の『ソニー復興の劇薬』をはじめ、長年にわたりソニーの動向を見守ってきた。その経験をふまえて、ソニーの現在地を分析してみよう。

ソニーを支える5本柱

現在のソニーの高収益を支える事業はなんなのか?──柱は複数ある。

1つ目はゲームだ。

1994年に初代「PlayStation」が発売されてから、すでに四半世紀以上が経過し、ソニーの屋台骨であることに疑問をもつ人はもはや存在すまい。特にここ20年は、ソニーの業績の浮沈のカギを握るコア中のコア事業である。2013年11月(海外発売。日本では2014年2月)に「PlayStation 4」が発売されて以降、業績は好調を維持しつづけている。

2つ目の柱はイメージセンサー。特に、ハイエンドスマートフォン用カメラに使われるセンサーでは、トップシェアを誇っている。iPhoneでも、すべてのモデルでソニー製センサーが使われている。

3本目の柱である音楽事業も高業績だ。

かねて世界中でCDなどの販売は落ち着いており、加えて2020年は、コロナ禍でライブイベントからの収益も激減、楽曲やミュージックビデオの制作に支障をきたしたものの、SpotifyやApple Musicのような月額課金型の「ストリーミング・ミュージック」の収益拡大で、比較的安定的なビジネスとなっている。

さらには、日本で大ヒットした『鬼滅の刃』のアニメ版を制作したアニプレックスが音楽事業の傘下にあり、そこからの収益も、2020年度の好調に拍車をかけている。

4つ目の家電事業も、利益率では他事業に比べてまだ小さいものの、売り上げはかなりの規模を占める。現在は、テレビにしてもオーディオにしても、比較的高付加価値な製品に絞ってビジネス展開をしている。

そして、この事業の高収益を支える1つの軸が「デジカメ」だ。特に、ミラーレスタイプのレンズ交換型カメラ「α」シリーズの好調が大きい。デジカメ市場自体は、スマートフォンに押されてどんどん縮小しているが、スマホでは撮影が難しい、セミプロからプロの領域での利用を拡大し、高付加価値化に成功している。

Photo by Kiyoshi Ota/Bloomberg via Getty Images

金融事業も、5本目の柱として安定的に高収益を上げつづけている。1979年にソニー・プルデンシャル生命保険(現・ソニー生命保険)を設立、2001年にはソニー銀行を立ち上げて以来の事業なので、じつは金融事業は、ソニーの中でも古株のビジネスといっていい。

家電事業の業績悪化で苦しんでいた際には、「ソニーは金融の会社になった」と揶揄されることもあったが、そうした時期はすでに過去のものとなっている。ほぼ日本国内向けの事業ではあるが、他国の事情に影響されづらい安定的なビジネスになっている。

関連記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/