コロナ禍のシーズンだからこそ見えた「チームジャパン」の底力

カーリング日本選手権観戦記 女子編
竹田 聡一郎 プロフィール

ブームを支える「良き敗者」にこそ目を向けるべき

コロナ禍にあった今季、渡航制限などもありカナダのツアーをはじめ、多くの大会や遠征が中止になった。

しかし、JCA(日本カーリング協会)と多くのチームと選手は、感染リスクを避けながら、例年より多く合宿を敢行するなど強化の歩みを止めなかった。稚内、青森、札幌、軽井沢と主要なカーリングホールに集い、試合数を確保した。

 

さらに2021年11月には稚内、12月には軽井沢でワールドカーリングツアージャパン主催で大会形式の強化試合が組まれた。特に12月の軽井沢は10エンドゲームで持ち時間38分という、日本選手権と同じレギュレーションが採用され、選手からは「この時期に本番仕様のゲームができるのは本当にありがたい」という声が多く挙がった。

もちろんそれとは別に各チームはホームリンクで、世代や男女、年齢のカテゴリーにとらわれず積極的に練習試合を重ねた。

上記2大会を優勝で飾ったロコ・ソラーレの吉田知那美は数年ぶりに国内のみで強化したシーズンについて、こうに語った。

「様々なトップチームのいいところを吸収することができる、勉強できる時間が多かった。個人的にはチームジャパンがなんとなく一致団結したなという雰囲気も感じています。海外に出られないからこそ、トップチーム同士が胸を貸し借りして一緒に強くなっているという感覚は、こんな風(新型コロナウイルスの影響)にならなかったら起こらなかった現象だなと思っています」

吉田知那美(ロコソラーレ)。インスタグラムではフォロワー11万人を超えるカーリング界きってのインフルエンサーでもある(C)JCA IDE

また、今季の日本選手権が開催された稚内の「みどりスポーツパーク」は新設された会場ということもあり、より良いアイスを作るために、チーフアイスメーカーにスポーツコミュニティー軽井沢クラブの藤巻正氏と常呂カーリング倶楽部の鈴木繁礼氏を指名、さらにサブチーフアイスメーカーには地元稚内カーリング協会の飯田俊哉氏と札幌市スポーツ協会の山崎英威を据えるなど、万全のアイスメーク体制を敷いた。

これまでの日本選手権は、当該ホールのアイスメーカーあるいは地元協会のアイスメーカーがチーフを務めてきたが、昨年の軽井沢大会での史上初の外国人アイスメーカー・ハンス・ウーリッヒ氏への依頼に続き、今季も他の地域からアイスメーカーを招いて製氷するという史上初が続いた。吉田知那美の言葉を借りればアイス外でも「チームジャパン」で難しいシーズンをなんとか乗り越えつつある。

日本のカーリング界の英智を結集させたシーズンも、2月23日に青森・みちぎんドリームスタジアムで行われるミックスダブルスの日本選手権で国内最終戦となる。これは平昌五輪から採用された新種目で、日本は北京五輪での初出場を狙うが、この大会が国内選考を兼ねている重要なゲームとなる。

ここで紹介した選手の多くが出場予定で、種目は違えど北京五輪へのラストチャンスとなる。多くのチーム、選手がこの大会を終え、その結果次第で来年以降の活動予定や進退が決定するだろう。

おそらく五輪出場が決まったチームや選手には取材が殺到し、残り1年を切った北京五輪に向かってカーリングはまたブームのように加熱していくはずだ。男女、ミックスダブルスともに出場はおろか、メダル獲得も十分現実的だけに、過去最大の盛り上がりが期待される。

ただ、その裏側で地道な強化を続け、そのブームを支えた選手がいること、そのブームの1年前に去就を迫られる選手がいることはもっと報じられるべきだ。

それを伝えることこそが、「次の4年」に向かう選手への最大のサポートになり、ブームではなく普及への脱却になる一歩なのではないかという強い想いに駆られて、私は筆をとった。

幸い、前編の冒頭で紹介した北京五輪出場の可能性を持つコンサドーレと、ロコ・ソラーレ、北海道銀行の3チームは、勝つことの難しさ、負けることの悔しさ、カーリングを続けて世界に挑戦できる幸せを知っているチームだ。「グッドルーザー(良き敗者)」の思いを胸に刻み、チームジャパンの名に恥じない活躍を見せてくれることを期待したい。

【カーリング日本選手権観戦記 男子編】はこちらから

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