女子トップ3。MVPの北海道銀行の吉村紗也香(前列センター)はスキップとして初の日本選手権制覇となった(C)JCA IDE

コロナ禍のシーズンだからこそ見えた「チームジャパン」の底力

カーリング日本選手権観戦記 女子編
2018年の平昌五輪、「もぐもぐタイム」のブーム、銅メダル獲得によってカーリング女子日本代表の人気は急騰した。あれから3年。2月中旬に行われた日本選手権では、来年開催される北京五輪の代表の座をめぐって熾烈な戦いが繰り広げられた。10年以上、カーリングの取材を続ける竹田聡一郎氏が、その戦いのなかで注目したのは、勝者の栄冠ではなく……。
 

「世界を目指す思いは消えない」

「私たちは4年後の北京五輪を目指します」

その台詞を、「女子カーリング4強」と呼ばれるロコ・ソラーレ、北海道銀行フォルティウス、中部電力、富士急の選手の中で、いち早く口にしたのは、富士急の小穴桃里だった。

4年前の2017年、平昌五輪の国内選考でもある日本選手権で中部電力が優勝すると、五輪代表はその前年優勝のロコ・ソラーレとの2チームに絞られた。

カーリングはよく「4年に一度」と揶揄されるように、日本のカーリングは良くも悪くも五輪を軸に動いている部分があり、五輪出場前後でのチーム発足や消滅、選手の移籍などが増える。4年に一度、トップ選手は必ず「次の4年」を問われるが、その多くは「じっくり考えたい」「チームと会社と相談する」などと慎重に対応する。

しかし、小穴擁する富士急には迷いがなかった。すでに平昌五輪前に冒頭の台詞を明言していたのだ。

海外ツアーに積極的に参加し、結成から9年目の2018年に日本選手権初優勝。10年目にはカナダのツアーでも優勝を果たした。時間がかかったものの、チーム発足時に掲げた「トップ・オブ・ザ・ワールド」を実現した。

富士急にとって、北京五輪の国内選考を兼ねた今回の日本選手権は、2014年のソチ 、2018年の平昌に続いて、五輪へ挑戦という意味では3度目の正直だったが、プレーオフ初戦で中部電力に力負けして4位に終わり、道が途絶えた。

今後のことは「まだわからない」としながら、地元紙である山梨日日新聞掲載に「世界を目指したいという思いは消えていない」というコメントを出すなど、来季以降への思いをほのめかした。

ただ、負けてはしまったが、彼女らがカーリング界にもたらしたものは小さくない。

昨今のカーリングのタレントは常呂町や軽井沢近辺出身が圧倒的に多いなか、セカンドの常呂出身の石垣真央を除けば、小穴は山梨県甲府市、リードの小谷有理沙とサードの小谷優奈の姉妹は沙神奈川県相模原市、今季フィフスとして加入した苫米地美智子は岩手県二戸市とバラエティに富んだチーム構成だ。

左から石垣真央、小穴桃里、小谷優奈、富士急ハイランドで勤務しながら五輪を目指した(C)JCA IDE

ホームリンクも富士山のお膝元である山梨県山中湖村で日本選手権は関東ブロックからの出場という比較的珍しいロケーションにあり、カーリングホールと支援してくれる企業さえあれば、世界に届くということを証明したチームでもあった。たとえば西日本からも彼女らをモデルケースにした有力チームが出てくれば、日本のカーリングはいよいよ盛り上がってくるだろう。

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