紗倉:スクールカーストについての回は衝撃的でした。 帯にも「だってエッチな女のほうが、女としての価値が高いんでしょ?」という一文がありましたが、女の子たちが競うようにセックスをして、高校卒業前に妊娠をして退学をするといった話が強く印象に残っていて……。巻末の田島陽子先生との対談でも、「どんどんセックスして男にモテたほうがいい」という男性の価値観を内在化していた、と触れられていましたね。

『AV女優ちゃん』より

峰:今考えるとおかしな話だと思うんですが、当時はそれが自分の中の標準でしたね〜。スクールカーストでいえば、いまだに地元ではカーストの高かった子が親になると、その子どもにもカーストの高さが継承されて、ブイブイ言わせています。まぁ田舎なんで「ブイブイ」といっても、高級メロン農家になって、そこでさらにイチゴ育てて、子どもにスカジャンを買い与える、みたいな話なんですけど。

自分のことを書くことについて、紗倉さんの場合はどうですか? 小説『春、死なん』(講談社)では、独り身になった高齢男性が主人公ですし、あえてご自身の話と離れた設定のほうが書きやすい部分があったりするのでしょうか?

「老人の性」と「母の性」を濃密な筆致で描いた本作は、昨年の野間文芸新人賞の候補にも選ばれている
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紗倉:創作としては、主人公や登場人物は、自分とは少し離れた設定のほうが書きやすいですね。どうしても自分にまつわるものを書くと、読んでいる人に「これ、このAV女優の話でしょ」と勝手に解釈されて受け取られてしまうことがあって、嫌だったんですよね。

書き手としては、なるべく先入観がなくても楽しめるように物語を紡いでいくことを目標にしています。「これ、このAV女優の話でしょ」以外にも「どうせゴーストライターでしょ」というレビューも目にして、「世の中にはそんなことを思う人がいるんだ!」ってびっくりしましたけど……(笑)。

峰:私も現役時代には、ゴーストライターとよく言われました(苦笑)。でもそこまで言ってくれるのは、もはや褒め言葉ですね! わざわざゴーストライターを用意するような“ハコ”として自分が選ばれるなんて、それはそれで名誉じゃないですか。