次に抗議の声を上げたのは、やはり日本で人材派遣会社に勤務しているというジンさんだった。
「昨年、ミャンマーで総選挙が行われ、世界各地から選挙監視団が来て、選挙の正当性を証明しました。日本からも、笹川陽平日本財団会長が、ミャンマーで選挙監視を行っていたのです。
そのため、『選挙で不正が行われた』という国軍の主張は、正しくありません。日本も選挙監視団の一員だったのだから、はっきり声を上げてほしい」
日本政府が笹川氏を選挙監視に派遣していたことは、以下の日本外務省報道官談話(2020年11月9日)で確認できた。
〈 8日、ミャンマー連邦共和国において、2015年の歴史的な総選挙でミャンマーの国民が選んだ政権が発足して以来、初めての総選挙が行われました。選挙結果の正式な発表はまだ行われていませんが、今次総選挙が平和裡に実施されたことを歓迎します。
ミャンマーの民主化の過程において重要な節目となるものであり、公正かつ透明性の高い選挙の実施を支援するため、日本政府は、笹川陽平ミャンマー国民和解担当日本政府代表を団長とする選挙監視団を派遣したほか、二重投票を防止するための特殊インクの供与等を行いました。
8日(現地時間同日)、ミャンマーに派遣されている日本政府選挙監視団の笹川団長から、今回のミャンマー総選挙は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための様々な対策を講じながら、国内外の選挙監視団が見守る中で、概ね平穏に投票が行われたとの報告を受けました。
今般の選挙結果を踏まえ、ミャンマー国民の民意を反映した民主的な国造りが更に進むことを期待します。我が国は、ミャンマー自身による民主的な国造りを引き続き全面的に最大限支援し、伝統的な友好・協力関係を一層発展させていく考えです 〉
たしかに、日本はここまで深く足を踏み入れているのなら、ジンさんの言うように、なぜ声高らかに軍事クーデターの首謀者たちに抗議しないのだろうと思えてしまう。