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PS5でも話題!人の触覚を惑わせる奥深い「振動」の世界

震える薄膜を実現したMEMSとは何か

「PlayStation 5」でも注目の技術

スマートフォンからゲーム機まで、私たちの身のまわりには現在、「振動する」機械があふれている。

2020年末に発売された「PlayStation 5」のコントローラーにも、従来より微細な振動要素が組み込まれ、さらに真に迫った表現ができることで話題になった。操作するゲーム中のキャラクターが歩いたり走ったりする際に、足元の質感に合わせてコントローラーが発する「振動」と「音」を変えることで、プレイヤーに異なる感覚を与えるしくみが導入されたのだ。その精度は、映像を見なくても「キャラクターが今、どこを歩いているのか」がわかるほど高いものだった。

そんな「振動」の世界にも、じつはまだ、難しい課題がたくさん残されている。そこに面白い解決方法をもたらす、新たなデバイスの研究が進んでいると聞いたブルーバックス探検隊は早速、調査を開始した。

話題を呼んでいるのは、産業技術総合研究所で開発された「フィルム状振動デバイス」だ。人々にリアリティを感じさせる「振動」とは、いったいどのようなものなのか。

開発を担当している、産業技術総合研究所センシングシステム研究センター ハイブリッドセンシングデバイス研究チームの竹下俊弘さんと小林健さんを訪ね、話を聞いてみた。

フィルム状振動デバイス

「振動」を生み出すしくみ

私たちの身近にある、さまざまな「振動する」機器では、そもそもどのようなしくみでその「振動」を生み出しているのだろうか?

最も一般的な方法は、「モーターの先に重心の偏った重り」をつけたものだ。

輪ゴムの先になにかをつけて指で回すと、回転に合わせて重心が動くのがわかるだろう。重心移動による「ブレ」を振動に変えるのが、俗に「偏心モーター」とよばれるしくみである。最も安価でシンプルにつくることができるため、ゲーム機から携帯電話まで、幅広く利用されている。

最近は、「リニア共振アクチュエータ」という形式も使われるようになってきた。

リニア共振アクチュエータは、電磁石の力で重りを動かし、そこから板バネを通じて振動を大きくするしくみを採用している。偏心モーターよりも小さくつくれるのが特徴で、おもに薄型のスマートフォンなどで使われている。

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