かつてK-1ファイターとして活躍し、2001年には日本グランプリでチャンピオンに輝き、「青い目のサムライ」と称されたニコラス・ペタスさん。引退し50代を間近にした現在は、東京・西麻布の人気トレーニングジムのオーナー兼トレーナーとして、アスリートからまったくの運動初心者まで、10代から70代までのまさに老若男女を日々指導しています。

格闘家時代には、17回の骨折、7回の手術という、怪我に次ぐ怪我を経験。リハビリを乗り越えた現在、両脚人工股関節でありながら、指導するだけでなく、自身も毎日のトレーニングを欠かさないそう。それはかつての「闘うための体作り」ではなく「動ける体作り」のためのトレーニングです。

人生100年時代。そして、自分の体は自ら守らなければいけないwithコロナ時代。「動ける体」でいることの重要性と、運動が苦手でも今すぐできる「動ける体」を作るヒントをペタスさんに教えてもらいます。

ニコラス・ペタス
1973年生まれ。デンマーク出身。「クロスフィット西麻布」オーナー&マスタートレーナー。空手修行のために17歳で単独来日。1991年、極真会総裁・大山倍達の最後の内弟子となる。1998年よりK-1に参戦し、2001年、K-1日本グランプリで優勝。現在は、アメリカ発祥のフィットネストレーニング「クロスフィット」のトレーナーとして10代から70代までのクライアントを日々指導する。著書に『100歳まで動ける体 50代から始めても大丈夫!』(講談社)など。

骨折17回、両脚人工股関節。それでも運動する

フィットネスやトレーニングというのは、特殊な人たちのものだと思っている人も多いかもしれません。たとえばアスリート、学生時代に体育会系の部活に所属していた人、スポーツにストイックに打ち込んでいる人のもので、自分には縁がないもの、というふうに。けれども僕が声を大にして言いたいのは、フィットネスはけっして特別な人のためのものではないということです。それどころか、現代を生きるすべての人にとっての必須事項だと言っていいと思います。

「人生100年時代」と言われます。けれど、「寿命」と「健康寿命」は、まったく別のものです。何度も手術やリハビリを繰り返し、現在は両脚とも人工股関節の僕だからこそ言いますが、長生きするからには、寝たきりでなく、自分の脚でいつまでも歩ける体でいたい。最後まで自分の脚で歩いて人生を楽しむためには、単に長生きするだけでなく、同時に「健康寿命」を延ばすことがマストなのです。

自分の足で歩く「元気に生きられる年齢」を早くから考えたい Photo by iStock

運動習慣のない人の筋肉量は、20歳前後をピークにして、年間1%ずつ減っていくと言われています。荷物を運ぶ。子どもを抱き上げる。急ぐときに駆け足になる。つまずきそうになったらバランスをとる。運動とも言えないようなこれらの動作も、筋肉が衰えたら、当たり前にできなくなります。

日常生活のあらゆる場面で当たり前にしてきたことに支障が出てきたら、人生を思い切り楽しむことは難しくなります。また、生活を維持するためのコストもかかるようになります。運動による刺激で筋肉量をキープし続けることこそ、コストをかけずに100歳まで楽しく生きるための一番の方法なのです。