完全にオンライン化した大学

一方、高等教育機関である大学は、対面式の授業が長期間にわたり行われておらず、現在もまだ再開されていない。

オンラインでの具体的な授業の進め方としては、私の知る範囲では、講師がアップロードした資料を読み、チャット等で質疑応答、指示された内容のレポートを提出するかたちや、試験も含めてオンラインミーティングを活用するかたちなど、講師の裁量によって様々な形式が取られており、大学側は必要に応じてファイル交換ツールやミーティングツールを用意するなどの対応を行っている。

また私は現在、大学院生の研究指導にも携わっているが、ここ数ヶ月はオンラインミーティングとメールを介した指導が続いている。その中の1人の学生は、昨年末に同大学で修士号を取得したのだが、昨年3月以降、修了に必要な単位を全てオンラインで取得し、修士論文の審査会もオンラインミーティングで行った。

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進むICT教育で浮上した問題点

このように、オーストリアでは初等教育から高等教育まで、休校中もオンラインで対応できており、その対応方法も時間と共に進化し続けている。ただ、その過程で問題点も浮上してきている。

まず、オンラインによる現在の学習方法では、生徒が先生と取るコミュニケーションがどうしても文字ベースに偏ってしまい、一つ一つのやり取りの効率が悪い。そのため、子供の勉強時間や先生の業務時間が必要以上に長くなる傾向にある。

また保護者側も、在宅勤務への許可や家族手当の増額といった職場や国からのサポートは受けられているが、自宅学習をする子供のケアなどで時間が取られ、どうしても仕事が捗らない傾向にある。この点は、先生と保護者との間で行われるオンラインミーティングでも度々議題に上がっている。

写真はイメージです〔PHOTO〕iStock

さらに、校外学習やクリスマス会、また卒業パーティなど、こちらの学校で重要視されている対面形式によるイベントが軒並み中止になっており、友達に会えないという点も含め、自宅学習が続くことによる子供達の心理面への影響も問題視されている。

これらの問題点は、現在進行形で政治・学校・個人レベルで真剣に議論されており、この先の休校の有無にかかわらず、今後の学校教育の発展にとって重要な課題となるだろう。