文系マスコミが叩く「株価3万円」がまったく不思議なことではないワケ

数字を見れば一目瞭然だった!
髙橋 洋一 プロフィール

株高を説明できないマスコミ

余談だが、伊藤氏は実は戦前1938年に大蔵省に入省され、筆者はそれ以来4人目の東大数学科卒の大蔵省官僚だと聞いた。伊藤氏は戦時中内閣統計局で勤務しているときに、確率解析の基礎理論を生み出されたらしく、今でも信じられないほどの世界的な業績だった。

いずれにしても、標準的なフィアナンス論では、確率解析以前の話であるが、株価は将来収益の現在価値の総和で決まるとされている。もちろん、この単純な定式化をベースとして、実戦的で様々な応用バージョンがあり、それぞれで優劣を競っている。

しかし、単純な基本形でも、今の株価について、マスコミが言っている解説が的外れであることくらいは言える。

 

株価が将来収益の現在価値の総和になるということは、将来収益/金利が大きな要素になる。これを定性的にいえば、将来収益予想が高まったり、金利が低くなると、株価が上がるわけだ。

まず、日銀が低金利を継続しているというのはその通りだが、金利はイールドカーブコントロールなので、ここ1年くらいあまり変動していない。今の株高は昨年10月あたりから始まっているので、金利引き下げによるものではない。

株価をきちんと式で理解していれば、金利が変わらないので、金利要因は排除できるはずだが、文系マスコミの悲しいところで、式が理解できないから、ロジカルな議論ができない。

それでは、日銀が株式を購入しているという話はどうだろうか。根拠となるのは、昨年3月にETF購入枠を6兆円から12兆円へと拡大したことだ。しかし、3月と10月の間はどうだったのか、説明できない。

しかも、購入枠は6兆円増である。株式市場全体の時価総額は700兆円もあるが、その1%にも満たない額なので、それが大きな影響を与えているとも思えない。定量的な議論が苦手な文系マスコミは大げさに話しがちだ。

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