9万ドルの車に富裕層殺到!イーロン・マスクが自動車業界の脅威となった日

テスラモーターズという革命(2)
アシュリー・バンズ プロフィール

試作車完成

ロータス・エリーゼのシャーシは、テスラの車にはバッチリだった。だが、ボディーは形状、機能の両面で深刻な課題を抱えていた。運転席に乗り込む際に、高くて幅広の敷居をまたがなければならないからだ。足から入るなら、少々大またぎになるし、お尻から入るなら転がり込むような恰好になる。とにかく一苦労なのだ。また、テスラのバッテリーパックとトランクを収容するには、ボティーを少し長めに改造しなければならない。材質も、エリーゼに使用されているグラスファイバーではなく、カーボンファイバーでロードスターを作りたいと考えた。

 

こうした設計上のポイントについて、マスクの意向は大きい。妻のジャスティンでも快適に乗り込めること、一定の実用性があることを条件に挙げていた。

テスラは何人かのデザイナーに依頼し、ロードスターの新たな外観のモックアップを製作する。最終案に絞り込んでから、2005年1月に4分の1スケールのモデルを外注し、4月には実寸大のモデルを完成させた。この一連の作業を通じて、新たな発見がいくつもあった。

「マイラーフィルムでクルマを覆って空気を抜いたら、輪郭がくっきりして、光沢や影がはっきり見えるようになった」とターペニングは説明する。その画像をコンピュータに取り込み、専門業者に委託して空力性能をテストするプラスチックモデルを製作した。

著名投資家やグーグル共同創業者が集まる

2006年5月、社員数が100人に達した。この時点でできあがった試作車「EP1」はロードスターのブラックバージョンだった。文字どおり本物のクルマとあって、投資家への説明にも説得力がある。ベンチャーキャピタルの多くがその斬新なクルマに感銘を受けた。テスト走行の間に、エンジニアらが巨大な扇風機でクルマに風を送って冷やしている姿はご愛嬌だったが、そんな滑稽なシーンも忘れるほど、インパクトは大きかった。

ここでマスクはさらに1200万ドルをテスラに投じた。ほかにも新たな投資家が加わった。ベンチャーキャピタルのドレイパー・フィッシャー・ジャーベットソン(DFJ)、バンテージポイント・キャピタル・パートナーズ、JPモルガン、コンパス・テクノロジー・パートナーズ、ニック・プリッツカー、そしてグーグル共同創業者のラリー・ペイジ&セルゲイ・ブリンといった有名どころが集まり、合わせて4000万ドル(約48億円)を投資した。

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