実の妹も言動に苦しんできた

その年のお盆時期、行きたがらない義母を連れずに義父の墓参りをし、義母の妹の家に立ち寄った。食事や髪染めの件を話したら、叔母は「もう昔っからよ、そういう態度」と呆れ顔で言うではないか。
「あの人、人に頼み事はするのよ。でもすぐに気が変わって嫌になっちゃうのね」。
叔母も義母のそういう癖に悩まされてきたらしい。

「トミ子ちゃんには、何度も『洋服を選んで』って言われて、友だちがやっている洋服屋に連れて行ったの。『どんなのを選んだらいいかわからないから、Yちゃん選んで』って言うから、こんなのいいんじゃない?って選んであげると『そうだね、すてきだね。こういうのは自分では選べないんだよ』って買うの。その後も2、3回選んであげて、役に立ってよかったわと思ってたら、あるときその店の友達から連絡が来てね」。

洋服を買って帰った義母は、帰宅してから品物を見て「嫌になっちゃった」らしい。叔母にはないしょで毎回店に戻り、やっぱりいらないからお金返して、と返品していたのだった。
叔母の友人もさすがに腹に据えかねて、もうお姉さんは連れてこないで、と頼んできたのだという。今で言う「出禁」である。

普段の生活をしばらく観察していて気づいたのだが、義母には「明確な好み」とか「自分らしい考え」というものがなかった。いや、あるのかもしれないが、それを言語化する能力が皆無だった。だから、いろいろなことを他人に頼んでやってもらったり、判断してもらったりする。しかし、やってもらってから、あるいはやってもらっている最中に「なんとなく違う」とモヤモヤするのだろう。

頼んでおいて断る、が義母の前々からのクセであることはわかった。しかし、彼女の言葉のどこをどう信じて関わればいいのだろう。だんだん、義母に声をかけたり、かけられたりすることが苦痛になっていった。

友だちなら、距離を置けば終わることでも、義母だとそういうわけにはいかない…(写真の人物は本文と関係ありません)Photo by iStock

【次回は3月9日(火)公開予定です】

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