2013年5月から2014年6月まで、398日間にわたりシリアで過激派組織ISの人質となったデンマーク人の写真家、ダニエル・リューの実話を基にした映画『ある人質 生還までの398日』が公開中だ。
ドキュメンタリーとアクション映画を融合したようなカメラワークで、ダニエルの過酷な監禁生活を追体験させる本作は、これまでベールに包まれていた人質や家族の視点を描いた画期的な作品だ。
「テロリストとは交渉しない」というデンマーク政府の姿勢により、ダニエルと家族は地獄を見ることとなった。日本でも2015年にビジネスマンの湯川遥菜さんとジャーナリストの後藤健二さんがISに誘拐・殺害された事件があったが、日本もまた、デンマーク政府と同じ対策をとっている。
この映画の共同監督を務めたのは大ヒット作『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(2009)を作ったデンマーク出身のニールス・アルデン・オプレヴと、『幸せになるためのイタリア語講座』(2000)で知られ、本作でも人質救出の専門家アートゥアを演じる俳優アナス・W・ベアテルセンの2人だ。
当事者のダニエル・リューにも何度も会い、綿密に取材したというニールス・アルデン・オプレヴ監督に、人質ビジネスの恐ろしい実態と、この問題と切り話せない自己責任論に対する考えについて聞いた。