日本人の家族が、外務省から突然「ビザを剥奪」されていた…!

外国籍の配偶者が入国を拒否されている
楠本 瀧 プロフィール

次に、水際対策を考える場合、外国籍配偶者等の新規入国を規制したところで、ほぼ意味はない。入管の統計によれば、ビジネストラック等が停止される前の昨年11月(最新版)時点の帰国者・入国者は、日本人帰国者が3万453人、外国人入国者数が6万6603人、そのうち日本人の配偶者等の入国者数が839人であった。現在の人数はより少ないと考えられるが、外国籍配偶者等の入国を止めたところで、日本人帰国者を制限しないのならば、文字通り焼け石に水であることが分かる。

日本人帰国者に関する議論をせず、外国人の入国のみをことさら非難するのなら、それは結局、外国人の入国禁止それ自体が目的化しているのであって、水際対策を口実に差別感情や排外主義を正当化しているに過ぎない。仮に日本人帰国者を制限できないのならば、国籍にかかわらず入国後の隔離措置を厳格化する、台湾のような措置が合理的になるだろう。

 

政府の説明が不透明

ここまで説明しても、日本人が自粛しているのになぜ外国人が入国できるのかとか、何となく外国人は怖いだとか、国際結婚の覚悟が足りないとか、嫌なら日本から出ていけとか、そういった類のコメントを寄せる人もいるだろう。すべて感情論に過ぎず、とるに足らない。政府の第一の役割は、法に基づいて市民の具体的利益を保護することであって、当事者でない人々の「お気持ち」に迎合し追従することではない。

もっとも、「特段の事情」による新規入国について、感情論や陰謀論が流通している理由の一端は、政府の説明が不透明で分かりにくく、市民とのコミュニケーションが不足しているためである。

例えば、上記の外務省のウェブサイトは視認性が著しく低く、出入国管理に詳しい人でないと、一見して何が書かれているのか判然としないだろう。また、筆者は昨夏以降、外国籍配偶者等の入国に関し、入管や外務省に情報公開請求を行っているが、外務省の公文書には不開示部分がとくに多い。文書のほぼすべてが黒塗りされており、内容をまったくうかがうことができないものも少なくない。

そのような意味でも、本稿で描写した外務省の混乱ぶりは、コロナ禍の入国制限を象徴する問題であった。透明性を高め、市民への説明責任を果たしつつ、規範と事実に基づいた出入国管理を行うよう、政府には反省と改善とを強く求めたい。大分遅きに失したが、今からでもやらないよりは何倍もましである。

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