日本人の家族が、外務省から突然「ビザを剥奪」されていた…!

外国籍の配偶者が入国を拒否されている
楠本 瀧 プロフィール

平時とは異なる状況下において、不安や恐れのはけ口を求め、外国人への差別や迫害が引き起こされることは、歴史上珍しいことではない。中世ヨーロッパでのペスト流行時のユダヤ人迫害や、関東大震災での朝鮮人虐殺といった事件が想起される。歴史は繰り返すというが、しかしそれはまったく進歩しなくて良いという意味ではないだろう。

いずれにせよ、今回の外務省の意思決定を考える上で、一部の与野党の議員が「特段の事情」による新規入国に関し、入管や外務省を突き上げていたという政治的な背景は、押さえておく必要があるだろう。

 

日本政府の対応、国際法上の「難点」

今回の外務省の措置に関し、その手続上の不透明さについては、多くの人が同意すると思われる。それに加え、筆者としては、「特段の事情」による新規入国、とくに外国籍配偶者等の新規入国は、そもそも制限をするべきではないため、即時撤回を求めるものである。

まず、法的な観点で言うと、外国人の入国は国家の裁量によるとされているが、それは国際法上無制限ではない。自由権規約、及び規約人権委員会の一般的意見では、

「一定の状況において外国人は、 入国又は居住に関連する場合においてさえ規約の保護を享受することができる。例えば[…]家族生活の尊重の考慮が生起するときがそうである」

とされている。事実、G7といった先進国や、新型コロナウイルス対策の成功例として称賛される台湾でも、外国籍配偶者の入国は認められている。

また、外国籍配偶者等の新規入国の場合、通常は長期間の居住を予定しており、数ヶ月から一年以上の時間をかけて準備している。渡航に備えて仕事を辞めていたり、住居を引き払ったりしていることも多い。妊娠中であったり、長期間の別離による精神的な問題を抱えている場合もあるだろう。いずれにせよ、何の前触れもなく査証を停止した場合、外国籍配偶者等やその日本人家族に対して、具体的な形で経済的・精神的損害を与えるのは確実である。

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