文/FRaU編集部

なぜあのときヒトはこうなるのか

自分の身体はなんでこんな風になるんだろう?
そんな風に考えながらセックスをする人はほとんどいないだろう。

しかしそう聞かれると、確かに不思議に思う。
なぜ体は「反応」するのか、いったい体内でどんなことが起きているのか――?

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そんなことが「細胞レベル」で描かれていると話題になったのが、『はたらく細胞LADY』2巻に収録されている第9話「愛の交歓=未知の敵襲」だ。

『はたらく細胞』といえば、2015年3月から連載され、2018年よりアニメ化もされた清水茜さんの漫画。もともと清水さんが当時高校生の妹から「細胞について覚えたい」と依頼されて細胞を擬人化して描いたのがきっかけだそうだが、赤血球さんたちや白血球さんたち、血小板さんが大活躍し、「生物の授業の1000倍面白くてわかりやすい」と言われている。そして他の漫画家の方や小説家が『はたらく細胞』のスピンオフ作品を清水さん監修のもとに執筆、多くの「はたらく細胞ワールド」が展開しており、累計発行部数は450万部を超えている。

たとえば、『はたらく細胞BLACK』は大人の男性の「はたらく細胞」に特化した作品で、初嘉屋一生さんが作画を担当。清水茜さんが監修をつとめている。2018年から連載、喫煙・飲酒・ED・水虫・胃潰瘍・円形脱毛症など、男性の悩み満載の「使える」漫画となっているのだ。

その「女性版」と言えるのが、2020年から連載されている『はたらく細胞LADY』である。原作は『はたらく細胞BLACK』と同じ原田重光さん、作画は乙川灯さん、もちろん清水茜さんも監修に入っている。冷え性や生理など女性の身体特有のことが描かれているが、中でも連載で大きな話題になったのがセックスのときに女性の身体にどんな変化が起きているのかということを「細胞レベル」で描いたエピソードなのである。

(C)原田重光/乙川灯/清水茜/講談社『はたらく細胞LADY』2巻より

性交痛の原因とは?

『はらく細胞BLACK』でもセックスのときの体内の反応が描かれ、話題となっていた。しかし実際「異物が侵入する」女性の体内で起きていることがどういうことなのかがわかると、連載公開時もSNSで大きな話題となった。
『はたらく細胞LADY』の主人公のひとりはマクロファージさん。マクロファージとは白血球の一種で、つまりは免疫細胞の主役でもある。コロナ禍で免疫力の重要性が訴えられているが、マクロファージが体内で活躍するというのは免疫力が強いということなのだ。

性行為が始まろうとすると、子宮内膜細胞がざわつき、乳房に血流が増加して乳管が揺れる。マクロファージさんも一気に警戒する。人の身体の中に大きな変化が生じていることがとてもよくわかる。水分不足だと血流が悪くなり、性交痛が起こりやすいということ。幸せを感じながらのセックスは、オキシトシンの分泌が増え、より受け入れやすくなること。そんなことも描かれ、人の身体は心と繋がっていることが、細胞の動きからよくわかるのである。

(C)原田重光/乙川灯/清水茜/講談社『はたらく細胞LADY』2巻より

細胞の視点でセックスをマンガの形にした乙川灯さんはこう語る。
「漫画で描かれるセックスは当事者の感情を追うものが多いですが、そのとき体内で起こっている現象を細胞の目線から知るという視点はとても新鮮でした。これは確かにLADYにしか描けない!とワクワクしたのを覚えています。何となく言及されづらい行為中のあれこれをこんなにも真面目に、でもしっかり寄り添って描かれた物語は女性としても読めて嬉しかったです」

安心した環境での幸せなセックスは、細胞も喜ぶ。そんなことを細胞の目線で知ることができるのである。