提供:リクルートスタッフィング

1つの仕事でバリバリ働きたい、副業をしながらマルチに働きたい、自分のペースを大切にして働きたい……テレワークの普及もあり、自分が求める働き方の選択肢も多様になってきています。そんなさまざまな働き方がある中で、人々はどのような思いでその道を選び、「自分らしい働き方」を見出しているのでしょうか?

限られた時間を自分らしく使うためのさまざまな働き方を提案しているとのコラボキャンペーンで連載中のリレーインタビュー第2回目は、16歳で花街の世界に入り、舞妓・芸妓を経てYouTuberとなったチャンネル「Kimono Mom」のMOEさん。チャンネル開始からわずか1年で、チャンネル登録者数75万人(2021年3月5日現在)と一躍人気YouTuberとなったMOEさんですが、まさか自分が動画配信をすることになるとは思ってもみなかった、とのこと。華やかな花街での厳しい修行時代、最初の結婚と離婚。自活を目指し自分自身と向き合う奮闘期を経て再婚と出産、そしてYouTuberへ。従来のかたちにこだわらず、きっかけをチャンスに変えた新しい「自分らしさ」の叶え方を伺いました。

写真提供/MOE

MOE(もえ)
京都生まれ、東京在住。元舞妓・芸妓のYouTuber。学生時代に京都の伝統・文化の形成において、さまざまな職業の方が役割を担っていることに感銘をうけ、高校を辞めて祇園の舞妓になる。その後、芸妓として活躍し、結婚を機に引退。YouTubeの取材『日本のお母さんと赤ちゃんの生活』でインタビューを受け、その映像が世界へ発信され、世界中のママたちから共感の声が多数寄せられたことが転機となり、着物×料理をテーマに、2020年2月からYouTubeチャンネル「Kimono Mom」をスタート。現在登録者数は75万人以上。

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「私には、これしかない!」16歳の決意

割烹着をあわせた可愛らしい着物姿で、日本の家庭料理を娘さんと一緒に制作する動画を発信するYouTuberのMOEさん。自分でも思いがけなかった「自分らしさ」に至る最初のきっかけは、高校1年生の夏休みの宿題だったそうです。

「生まれも育ちも京都の私にとって舞妓さんは身近な存在でした。呉服関連の仕事をしていた祖父が、書の教室を開いていたのが祇園。子供の頃から親しみを感じていた場所でしたが、自分がその世界に入ることを意識したのは高校1年の夏休みでした。職業研究の課題で取り扱うテーマを探しているとき、府外の高校に進学した私は自分の地元でもある京都に特化して調べようと思いました。たくさんの職人さんが力を合わせ、文化を守り継承している京の花街。祖父に紹介してもらい舞妓さん、芸妓さんにも取材をさせてもらっている中で、美しさ、華やかさ、そして本物の工芸品を身につけ歴史と伝統を担っていく姿に改めて魅了され、同時に「私には、これしかない! 舞妓さんになって私も京都の一部になりたい」そう心が決まりました。

「高校を辞めて舞妓さんになる」とすぐに家族に伝えますが、反対されてしまって。高校中退して留学するならまだしも、と眉をしかめる母に『どれだけ留学説明会に行っても、舞妓になりたい気持ちは変わらなかった』と山積みの留学説明会資料を盾に説得。子供の頃から「決めたら絶対」な性格なので、最終的には熱意に負けた両親から「自分の人生なんだから責任持ってやってみなさい」と送り出してもらえました。

男兄弟に挟まれて育った私は、子供の頃からかなり活発に育ちました。祇園の置屋さんに預けられてからは、言葉遣い、所作、振る舞い、精神、全てにおいて一から仕込み直されました。私の場合は、それこそ「がに股」から。花街というところは、10代から90代までさまざまな経験と価値観を併せ持つ方で築かれている女社会。想像以上の厳しさを受け入れようと必死な一方で、理解の範疇を超えた花街の世界に困惑しました。

祇園の舞妓時代。写真提供/MOE

舞妓は「おおきに」「すんまへん」「よろしゅうおたの申します」この3つの言葉があれば事足りると言われる世界。お座敷に可愛らしく花を添え、自分の気持ちを表に出すことは求められない存在です。今振り返ると、10代の子供の素直さと柔軟さがなかったら対応しきれなかったと思うことは山ほどあります。心と体が追いつかず辞めてしまいたいと思ったこともありましたが、置屋に入った仕込み時代から舞妓を経て、芸妓を引退するまで花街に教えてもらえたことの多さと深さに、今日も支えられています。

同期はすでにそれぞれの道を歩いています。地元に戻り就職した子、結婚し育児に専念している子、高卒認定資格を取得後、大学に進学した子、自分で店舗経営をしている子とさまざま。私はゆくゆくは大好きなお着物に携わる仕事をしたいと考えていましたが、まさか育児を中心にお料理の動画を配信する日々になるとは全く想像していませんでした」