2021.03.08
# 家電

最新テレビの「超解像」「HDR」を徹底解説!1/100秒で作られる驚異の映像

テレビの大型化が生んだ新しい課題

テレビの進化は新しい「ディスプレイ方式」の登場だけでなく、さまざまな技術革新によって進んできました。今回は、大型化したテレビが美しく見えるカギとなっている「超解像」の技術、そして最近は動画配信サービスなどでも使われはじめた「HDR(ハイダイナミックレンジ)」について、ITジャーナリストの西田宗千佳さんに解説していただきました。

(この記事は書籍『すごい家電』の内容を再編集したものです)

テレビの大型化が生んだ新しい課題

高解像度化・大画面化したテレビの課題の1つに、「解像度の低い映像」をどう映すかがあります。現在のテレビは「点(ドット)の集まり」で映像を描きますが、もともと点の数が少ない映像(たとえば、アナログ放送時代に作られた映像)を表示すると、どうしても「ぼやけた」印象の映像になりがちだからです。

この問題を解消するため、ハイビジョン対応以降のテレビでは、解像度が低かったり、逆に高すぎたりする映像を、実際の画面サイズに合わせて「美しく見える」ように補正する技術が搭載されています。

現在の多くのテレビにはインターネット接続機能が搭載されており、「YouTube」などのネット動画が視聴可能です。ネット動画の多くは、通信の負担を減らすため、情報量を落とす「圧縮」が行われています。

圧縮された動画は解像度が低く、ディテールのつぶれた「見づらい映像」になりがちですが、このような場合にも、補正技術が威力を発揮します。ネット動画特有のノイズを除去したうえで「超解像」技術をかけると、より見やすい映像に生まれ変わるのです。

粗い映像を美しく見せる「超解像」技術

解像度が低い映像を見やすく補正するには、具体的にどのような技術が必要なのでしょうか?

シンプルかつ効果の高い手法として、映像の「エッジ」に注目するやり方があります。解像度の低い映像の難点は、ぼやけて見えることです。ぼやけて見えることを防ぐためには、顔の輪郭や建物の端の部分など「明るさ(輝度値)が大きく変化する部分=エッジ」を検出し、その境界部がはっきりシャープに見えるよう加工すればよいのです。

単純に映像を拡大した場合に比べ、これだけでかなり見やすくてリアリティのある映像になります。

ただし、エッジを単にシャープにするだけでは、かえって不自然な映像になってしまう危険性があります。手前に映っているものと奥に映っているもののエッジを、同じようにシャープにしてしまったのでは、映像から立体感が失われ、きわめて不自然な映像になるからです。また、シャープにしすぎると、どこかギスギスした、固い印象の映像になってしまいます。

そこで導入されるのが、より高度な技術です。特に、解像度の低い映像をティスプレイパネルの解像度に合わせて「高解像度化」することを、「アップコンバート」あるいは「超解像」とよびます。

じつは、超解像技術のクオリティが、現在の液晶テレビのクオリティを決めています。たとえば、最新の4Kテレビでは、もはやハイビジョン放送やブルーレイディスクの映像でさえ「解像度が足りない」状態です。超解像技術を使うことによって初めて、ハイビジョンの映像が本来もっている「正味の情報量」を出し切り、あたかも4倍の解像度をもつ映像であるかのように見せることが可能になるのです。

通常のハイビジョンに相当する2Kのテレビではノイズのように見えるタバコの煙が、4K+超解像では微細にたなびく煙に見えてくるくらい強力な技術です。別の言い方をすれば、単純に拡大してエッジを持ち上げる(シャープにする)のではなく、「まるで解像度そのものを高めたかのように、映像中のディテール・情報量が増えてくる」のが超解像処理なのです。

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