日本は「怖い国」だって…? ある「在日コリアン」が直面した「強烈な違和感」

ニューカマーたちの「リアル」
崔 碩栄 プロフィール

北朝鮮に移住した在日たちの「メッセージ」

かつて「地上の楽園」の宣伝に騙されて、自由と民主主義の国である日本を捨て、人民民主主義の国である北朝鮮に移住した9万人以上の在日たちがいた。

彼らが辿り着いた地は監視と弾圧、独裁と貧困が支配する生き地獄であったが、そんな彼らが自分たちのような被害者を出さないために日本にいる家族や親族や知人に「警告」のシグナルを発信していたということを思い出す。

手紙は全て検閲を受けるため、ストレートに伝えることはできなかったが、それでも切手の裏に小さな文字で「来るな」と書いた人がいたとか、意味不明のことをわざと書くことによって違和感や疑問を抱かせ、「北で何かがあったかもしれない」ことを暗示しようとする試みもあったという。

北朝鮮に批判的なことを書いたことが知れたら、自分たちが酷い目にあうことを知りながらも、彼らは北朝鮮に渡ろうとする同胞の「帰国」を阻止しようとしたというのである。

「いつ殺されるかわからない」恐怖を語るというなら、なぜ彼らはそのことをニューカマー候補生に伝えようとしないのだろうか。

北朝鮮から同胞にメッセージを伝えた人たちがいた photo/iStock
 

1950年代末から1984年までにかけて約9万人の在日たちが北朝鮮に移動した。彼らは外部とは徹底的に遮断され、全ての情報は検閲、統制されていたが、それでも日本に残った在日たちは海の向こうの北朝鮮に起きている「危険」を大まかには察知していた。

「地上の楽園」の宣伝は続いたが、「暗号文のような手紙」というだけではなくさまざまな状況証拠が北の「異常」を在日たちに教え、それに沿って在日たちも行動した。

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