「本業のHISが上場後初の赤字に転落しただけでなく、虎の子の金融業でも『モンゴル・リスク』が炸裂した。澤田さんも頭を抱えているはずです」(全国紙経済部デスク)
澤田秀雄氏(70歳)といえば、旅行大手HISの創業者として知られるが、「澤田ホールディングス」という金融持ち株会社の会長も務めている。
HS証券などを傘下に置く澤田HDは、連結売上高610億円、営業利益も100億円超(2020年3月期)という優良企業だが、その稼ぎ頭が、過半数の株を保有するモンゴルの子会社「ハーン銀行」だ。
「'03年、澤田さんは経営不振だったハーン銀行への資本参加をモンゴルの閣僚から懇願され、経営に参画。相当な熱の入れようで放漫経営を立て直し、個人・中小企業向けの銀行としてトップの位置まで躍進させた」(同)
いまや銀行業は澤田HDの売り上げの8割以上に。手塩にかけて育てたハーン銀行が「打ち出の小槌」になっているのだ。
ところが今年の1月末、モンゴル議会は「個人や法人が銀行の株を20%以上保持することを禁ずる」という旨の法案を唐突に可決した。