年々激化していく中学受験。コロナ禍にあってもその勢いは衰え知らずだという。中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を主催し、『令和の受験 保護者のための参考書』の筆者でもある矢野耕平さんに、2月初旬に終わったばかりの、2021年度中学受験で例年になく増えた “家庭でのトラブル”について教えていただいた。

27年間中学受験の世界に身を置く矢野さんが見た、コロナ禍だからこそ起こりがちな“家庭でのトラブル”とはーー

コロナに振り回された受験勉強

2021年度中学入試が終わった。今年も大勢の子どもたちが挑んだ激戦の中学入試。第一志望校に合格できるのは「3人に1人」あるいは「4人に1人」とされている。喜びの涙を流せた人がいる一方、第一志望校合格の夢が叶わず、悔し涙に暮れた人もそれだけいるのだろう。

中学受験塾の講師が物申すのもおかしいが、手元に置かれている「偏差値表(学校ランク表)」を破り捨てて、受験から解放されることが大切だ。ただでさえ、学校でいろいろな行事が中止に追い込まれ、友人たちと存分に触れ合える時間も限られていただろう。卒業式までのかけがえのない時間、残された短い小学校生活を謳歌してほしいと願う。

さて、この春は中学受験生のみならず、高校受験生、大学受験生、そして、新社会人など人生の「岐路」に立った人たち、その保護者は並々ならぬ苦労があったにちがいない。そう「コロナ禍」である。

昨年の春は緊急事態宣言に先駆け、政府から全国一斉の休校が要請された。これに伴い、学校のみならず、塾や予備校も対面授業を中止せざるを得なくなった。入試を目指す子どもたちはオンライン授業、動画配信授業などを活用せざるを得なくなった。学校や塾が再開したあとも、「密」の状態を避けながら学びを進めていったのだ。

そんなふうに骨を折った結果、つかみとった「合格」は本当にすばらしいし、それがたとえ第一志望校ではなかったとしても、胸を張ってほしいと思う。

リモートワークで両親が在宅する長短

残念ながら、此度のコロナ禍は終息の気配など一向に見えない。来春の入試を志す「新・受験生」も、さまざまな制約の下で受験勉強に励んでいくのだろう。

話は変わるが、先日民間学童保育の経営者と電話で話す機会があった。彼は溜息をついた。「学童には子どもたちがあまり集まらなくなってしまったな。だって、両親ともにリモートワークで在宅しているケースが増えたからね」

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わたしの担当した中学受験生たちのご家庭でも同様の事例が多く見られた。いままでは子どもの勉強は塾に任せっきりだったのが、両親が昼夜を問わず在宅しているため、子の中学受験勉強に目を向けるようになってきたのだ。

これは家庭学習の進め方に四苦八苦していた中学受験生にとっては朗報であった。子が効率良く中学受験勉強を進められるよう、保護者がアドバイスを適宜おこない、それが功を奏して成績向上につながるような事例を自塾のみならず、同業者たちからも聞いたのだ。

その一方で、両親が在宅しているからこそ生じるトラブルも見聞きするようになった。それらの事例の一端を紹介してみよう。