元夫を憎む気持ちばかりがあった

転機は、ふいに訪れた。
「私は地方出身で、大学を卒業してから東京に出てきました。離婚してからもずっと東京で働きながら、一人で子育てをしていたんです。そんなとき、たまたまテレビ局の取材を受けました。放映された番組で客観的に自分の顔を見たら、あまりにもやつれて笑顔もなかったことにショックを受けました。これはヤバイと思い、自分の生活を見直そうと思ったんです」

りかさんは独身時代に国家資格を取り、それを生かして会社勤めをしていた。離婚後も同じ仕事を続けていたが、これからもひとり親として子育てをしていくことを考えると、もしかして故郷の実家の近くに戻ったほうがいいのかもしれない。

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「同時に、自分の心にも向き合いました。当時の私は、元夫を憎む気持ち、否定したい気持ちが常に心にひっかかっていて、何をするにもそれが邪魔していました。うまくいかないことがあると、すぐ相手のせいにする考え方のくせがあることにも気づきました。これはいけないと思って、まずは行動から変えてみることにしました」

はじめにりかさんが取り組んだのは、面会交流を受け入れることだった。娘が元夫に会いに行くときに「いってらっしゃい」、帰ってきたら「おかえりなさい」と笑顔で言う。ただそれだけを実行した。
「そうしたら、2〜3ヵ月も経たないうちに娘が変わってきたんです。それまでは『行くのがいやだ』と泣いていたのが、『今度、いつお父さんと会えるの』とか『今度、○○に行くんだ』などと、すごいポジティブな言葉を言うように。なんて私は子どもにひどいことをしていたんだろうと反省しました」

娘の変化が、面会交流を受け入れようとするりかさんの背中を押した。りかさんは思い切って面会交流の時間を増やし、娘と元夫がたくさん交流をもてるようにした。どんどん娘は明るくなった。それにともない、りかさんの気持ちも安定してきた。

自分が嫌いだからといって娘から父親といる時間を奪っていた。そのことに気づいてから、明らかに変化が訪れた(写真の人物は本文と関係ありません)Photo by iStock