相手からの裏切りが許せなくなり、離婚を選ぶ。許せないまま我慢して無理に家族を続けるよりも健全なのだろうが、その「憎しみ」を引きずり続けたらどうなるのか。今回上條さんがお話を伺ったのは、36歳のとき、1歳の子どもを連れて離婚した女性。元夫への憎しみから、子どもを会わせるのも嫌で仕方なかったが、ある「気づき」から、その憎しみを乗り越え、幸せに生きることができるようになった。その「気づき」とは何なのか。

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こんなはずじゃなかった

「いわゆるデキ婚。お互いのことあまり知らないまま、結婚してしまったんです」
津田りかさん(仮名・43歳)は、8歳の娘を育てるシングルマザー。7年前、娘が生まれて間もなく離婚した。

元夫はパーティで知り合ったサラリーマンで、食べ歩きの趣味が一致して仲良くなった。交際当時は、たくさんごちそうしてくれた。りかさんが「専業主婦になりたい」と言うと「いいね」と同意してくれた。

「だから、それなりに収入があると思っていたのに、ふたを開けてみたら、私よりずっと少なかったんです。とても専業主婦になどなれる状況ではありませんでした」
まずはそこから、「こんなはずではなかった。裏切られた。」という思いが募った。生活費をいくら出し合うかでもめ、新婚だというのに喧嘩ばかり。出産してからは、ホルモンの影響なのか、元夫を受け入れることができなくなってしまった。いわゆる生理的に無理というようなもの。

「知り合ったとき34歳で、正直、結婚や出産に焦る気持ちがありました。妊娠して籍を入れましたが、この人だ! と思って結婚したわけじゃないから、一つ不満があると、悪い面ばかりが目につくようになってしまいました」

女性であるりかさんより収入が少なくても気にしないおおらかさは、向上心のなさと映った。家事や育児は、頼まれればやる程度で、積極的にやらないことも不満だった。

悪い面ばかりが目に付くと、自分の中できっぱり線を引いてしまうことも…Photo by iStock