なぜウイルスは変異するのか?ワクチンは変異種に効くのか? 気になる疑問の答えは

変異とどう向き合うべきなのか

ウイルス変異が起こる理由

2021年2月現在、日本国内の新型コロナウイルスの感染拡大はやや抑えられてきている。しかし、今新たな不安材料として浮上しているのが、変異ウイルスによる感染拡大である。

最近のイギリスにおける感染爆発はまさにこの変異ウイルスによるものであり、その変異ウイルスはイギリス型と呼ばれている。イギリス型以外に、南アフリカそしてブラジル型も発生している。

ウイルスに限らず、すべての生物は生きていくため、特に新しい環境に適応するために、遺伝子を変化させている。ウイルスが宿主である生物に侵入すると、その生物体内の環境に適応するように変異する。つまり異なる宿主を渡り歩く度に異なる変異をすることになる。

今回のパンデミックでは少なくとも1億人の人達に感染したので、変異も非常に多く起こっているはずである。

ウイルスを殺す抗ウイルス剤は重要な薬であるが、これに痛めつけられるとウイルスも必死に抵抗し、それに耐えるようように体質変換を図る。つまり変異が起こり、変異したウイルスには、この抗ウイルス剤はもはや効かなくなる。耐性の出現である。

私達の日常でも、文字の転記ミスを犯すことは少なくないが、ウイルスが自身を複製する時にもこのような、いわば偶然の複製ミスを犯す。大半の変異ウイルスは少なくとも私達にとって無害であるが、中には質(たち)の悪いのも生まれて来てしまう。

このような偶然ミスによる変異の出現数も、結局のところウイルスの増殖回数に比例することになる。

死亡者数を増加させないだけでなく、質の悪い変異ウイルスを発生させないためにも、感染者数を増加させないことが重要である

話題の変異体N501YおよびE484Kとは

それでは、最近よくニュースで流れる質の悪い変異ウイルスは、なぜ質が悪いのか、分子レベルで見てみよう。たくさんの変異ウイルスの報告があるが、ここでは「N501Y」と「E484K」という変異ウイルスについて見てみることにする。

ウイルスが増殖するためには、図1のようにウイルス表面にスパイク状に突き出ているスパイクタンパク質(Sタンパク質)が私達の細胞にまずとりつく必要がある。

図1

タンパク質はたくさんのアミノ酸が直線的につながってできているので、各アミノ酸の位置と種類を示すためにN501のような標記をする。つまり、野生型(変異していない元の)ウイルスでは、501番目のアミノ酸がアスパラギン(N)であることを意味する。

一方、N501Yは、この501番目がチロシン(Y)というアミノ酸に変わった(変異した)ことを意味する。同様に、E484Kは野生型ではグルタミン酸(E)であった484番目のアミノ酸がリシン(K)になった変異を示す。

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