2021.03.24
# 精密機器

時計の歴史を変えたジョン・ハリソンのマリン・クロノメーター

サイエンス365days

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

航海のために生まれた高精度の時計

1693年の今日(3月24日)、遠洋航海に使われる高性能の時計・クロノメーターを開発した時計職人のジョン・ハリソン(John Harrison、1693-1776)が誕生しました。

イギリス中部のヨークシャー地方に生まれたハリソンは、大工であった父を手伝うかたわら独学で時計製造の技術を身につけ、20歳の時には自前の機械式振り子時計を作る技量を持っていました。

1714年、彼はイギリス議会で出された「経度法」のニュースを耳にします。

大航海時代から半世紀以上たっていた18世紀当時、ヨーロッパの航海技術は大幅に進歩し、太陽や北極星の高さから船の緯度を割り出す技術が確立されていました。ところが経度を測定する手段がまだなく、船員が海上での位置を知ることができなかったため、船同士の衝突事故や座礁事故が頻発していました。

前述の「経度法」とは、海上で経度を測定する実用的な手段を考案したものに賞金を与えるという法律です。

ハリソンが目を付けたのは、「時刻」と「太陽の位置」から経度を計算する方法です。この方法は昔から知られていたものですが、当時の時計は船上での揺れや湿気・温度の変化によって時間にズレが生じてしまい実用的な制度の経度測定には使うことができませんでしあ。

ハリソンは船の揺れや温度の影響を受けないよう、さまざまな技術を開発し、経度測定機能付きの時計(マリン・クロノメーター)を作成しました。たとえば熱膨張率の異なる2種類の金属を貼り合わせ、温度変化を金属の曲がり方の変化へと転化する「バイメタル」は、現在でも温度変化の測定・補正技術として用いられています。

ハリソンは自らのクロノメーターに改良を重ね、「H1」から「H5」までのバージョンを開発しました。最終段階の「H5」は、カリブ海への5ヵ月の航海で14秒しか誤差がないという極めて高性能なものでした。政府の中には賞金を出し渋る向きもありましたが、最終的には賞金が全額支払われ、ハリソンの名声は確固たるものとなりました。

クロノメーターを持つハリソンの肖像画 Photo by Getty Images

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